平成9(1997)年12月の地球温暖化防止京都会議において、日本の温室効果ガス削減目標は6%に決まったが、民生部門や運輸部門のCO2は増えつづけており、各種対策の効果がまだ現われていない現状である。民生部門や運輸部門からのCO2削減対策の実行には、自治体のリーダーシップが不可欠であることから、環境自治体会議は自治体の温暖化対策推進のサポートを行っていくこととした。その中のひとつである自転車のまちづくりプロジェクトは、日常生活あるいは観光用に自転車を活用することによって地域内の運輸部門からのCO2量を削減していこうとするものである。
平成10(1998)年度には、茨城県古河市、秋田県二ツ井町の2つの会員自治体によって、共用自転車等を導入するための事業がスタートし、導入に向けての実施計画作りを進めた。両自治体それぞれのプロジェクトチームが発足し、専門委員会、アンケート調査、シンポジウムなどが行われた。
環境自治体会議としては、自転車のまちづくりを進める自治体がノウハウを交換したり、自転車等の資材を融通しあうことができれば、個々の自治体の取り組みもより充実したものになると考え、上記プロジェクトとは別に、相互連絡組織としての「自転車のまちづくり部会」を発足することにした。
自転車のまちづくり部会は2000年度には第4回部会を開催した。
第4回「自転車のまちづくり」部会:2000年10月23日、東京都内において開催。
最近、地球温暖化などの環境問題の観点から自転車活用への関心が高まってきており、建設省が自転車に関するモデル都市を指定するなど新しい動きも活発になっている。このような状況を受けて、第4回部会では3つの会員自治体のほか新潟県新津市からも事例が発表された。
新潟県新津市では、新潟市への通勤者の自動車依存度が高いという事情から、「サイクル・アンド・レールライド」のほかに、「パーク・アンド・レールライド」、高速バスを利用した「パーク・アンド・バスライド」等のTDM(交通需要マネジメント)施策の実施をめざしている。そのうち、「サイクル・アンド・レールライド」については、建設省の社会実験として「エコ自転車通勤システムR&B N2(レール・アンド・バイシクル 新津―新潟)」が現在進行中である。新津市からの通勤者に対して、新潟市内での移動手段として自転車を貸し出すという点がユニークである。もちろん、市内においても中心市街地活性化もめざす自転車利用空間ネットワーク化の計画をもっている。
鹿児島県加世田市では、平成7年から「自転車によるまちづくり」を進めてきた成果が2000年、「自転車にやさしいまちづくり」サミットという形で結実した。2001年には、サイクルサッカーの世界大会を控えている。
秋田県二ツ井町では、環境にやさしい自転車のまちづくり基本計画を踏まえ、最近、自転車スタンプラリー、サイクリングなどが実施され、町民による「自転車くらぶ」活動も始まった。具体的な自転車歩行者道の整備が今年度の課題になっている。
茨城県古河市では、環境庁の「地球温暖化防止対策評価事業」として電動アシスト自転車を市民モニターに貸し出し、PHS端末を活用した位置情報システムを用いて温暖化防止効果を測定する「太陽で走る自転車」システムが運用されつつある。電気自転車を太陽電池で充電するための設備は準備中であるが、市民モニター(1期3か月、各期200名)への貸し出しを行った。
続いて、政府各省庁からの報告として、初参加の警察庁を含め、5省庁から99年度、2000年度の取り組みの発表があった。さらに、建設省からは99年度から実施されている自転車利用環境整備モデル都市について、PHSを利用した交通実態調査について、詳細な報告をいただいた。
このように盛りだくさんの内容であったため、各発表、報告が終わった時点で予定の時間を過ぎていたが、討論として、西田委員から温暖化対策としての自転車利用施策の体系化、自動車から自転車への乗り換えシステム支援の必要性が指摘され、部会のまとめについて提案があった。
(文責:増原直樹)