環境マネジメントプロジェクト
委員会の目的
ISO14001の認証取得にこだわらず、自治体の望ましい環境マネジメントシステムのあり方を検討し、「環境自治体」を標榜するにふさわしい環境マネジメントシステムを提案する。
委員会の構造
環境マネジメントシステム専門委員会
[環境自治体会議としての見解を検討し、まとめる]
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|―――環境行政評価プロジェクト[事例の検討を中心に行う]
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環境マネジメントシステム専門委員会部会
[具体的な課題を検討し、委員会への提案を行う]
委員(50音順、所属等は委員会創設当時):
- 委員長:水口 剛(高崎経済大学講師)
- [会員自治体委員]
- 田原迫要・指宿市長
- 竹内 謙・鎌倉市長
- 馬場弘融・日野市長
- 丸岡一直・二ツ井町長
- 吉井正澄・水俣市長
- [専門委員]
- 青木雅彦・環境マネジメント研修センター研修部長
- 北村喜宣・横浜国立大学助教授
- 國部克彦・神戸大学助教授
- 今田長英・環境庁環境計画課計画官
- 松村隆・環境庁環境活動推進室長
- 部会・プロジェクトメンバー(50音順、所属は創設当時)
- 青山尚巳・神奈川県環境科学センター
- 川崎建次・豊中市環境企画課
- 田中 充・川崎市環境保全局
- 森下 研・エコマネジメント研究所代表
活動概要(開催順)
【第1回専門委員会】
- 日時:1999年7月28日(水)13:00〜16:00
- 場所:日本染色会館会議室(東京都千代田区)
- 参加者:一般オブザーバー・マスメディア関係者含め約30名。
議事概要:
冒頭に委員会設置の趣旨等の説明を兼ねた挨拶、参加者の自己紹介、委員会の位置付け・目的等の紹介があった、その後、青木雅彦氏(環境マネジメント研修センター研修部長)と中口毅博(環境自治体会議事務局)からそれぞれ話題提供が行われ、それを受けて活発な議論が交わされた。 交わされた議論の主なものは以下のとおり。
- ISO14001のシステムはひとつだが、運用は多様であり、この2つは分けて論じるべき
- ISO14001取得をした場合、人事評価がどうちがうかが自治体のISO14001運用のポイントでないか。
- 企業と自治体のISO14001運用の共通点と相違点を明確にしたい。
- *ISO14001と環境基本計画の位置付けはどうなのか。例えばISO14001のPDCAのPと環境基本計画、環境基本計画の進捗管理とISO14001。
- 自治体政策でたとえば「老人ホームの充実」「ホタルの棲む空間づくり」のどちらが重要か決めるステップを変えるのがISO14001。ISO14001導入は意思決定を合理的かつ効率的にすることである。
- 福祉を重視するか環境を重視するかはISO14001で決めるべきではない。ISO14001は戦略を決めることをやってはいけないし、実際、取得している企業であっても経営戦略までISO14001で決めているところはないのではないか。ISO14001の理念は広くても、実際の運用は限定すべきであろう。
- そもそも議会が予算をつけなければISO14001認証をできない。議会の意思決定はISO14001とはちがう。自治体の意思決定とISO14001の意思決定は矛盾している。
*自治体の権限はあるところとないところがある(基礎自治体と広域自治体の権限のあり方)。基礎自治体としては他力本願にならざるをえないところもある。
- 環境基本計画、総合計画、率先実行計画とISO14001をいっしょに議論できるか。
- 「目標を決めて管理し達成する」というISO14001は、自治体の文化を変えるだろう。
- 行政評価は第三者審査登録機関がするべきものではないのではないか。認証機関の役割を議論すべきでは。
【第1回部会】
- 日時:1999年9月30日(木)10:00〜12:30
- 場所:市民運動全国センター会議室(東京都千代田区)
- 出席者:事務局を含め9名
議事概要:第1回専門委員会の議論の整理を以下のように行った。
- 用語・概念の整理の必要がある。
- 「科学的に環境影響を評価できる」は幻想であり、「著しい環境側面」の特定手法の位置付けや限界を明確にする必要がある。
- 環境マネジメントの範囲・対象を以下の視点から分類・整理する。
- ISO14001規格の「管理できる」と「影響を及ぼすことができる」
- 事業の性格による分類。「エコオフィス」「公共事業」等々。
- 誰がマネジメントするか。
- 自治体の規模・性格。都道府県、政令都市、市町村。
- これらを踏まえて、ISO14001の認証の範囲をどこまで拡大するかという議論をする
- 条例・法律と環境マネジメントの目的・目標の関係を整理する。その際に議会の役割も含める。
【第2回部会】
- 日時:1999年10月29日(金)13:30〜15:30
- 場所:市民運動全国センター会議室(東京都千代田区)
- 出席者:事務局を含め9名
議事概要:「自治体の環境会計」をテーマとした議論を行った。
まず國部克彦・神戸大学助教授より「環境会計とは何か」について、環境会計とは何か、企業の環境会計導入事例、環境庁の環境会計ガイドライン(中間とりまとめ)など、環境会計についての基礎的な情報、現状や課題について伺った。
次に事務局の角田季美枝から「自治体の環境会計の現状」として、電話による抜き取りヒアリングや海外視察経験をもとに内外の自治体における環境会計導入状況を報告した。
主な意見交換は以下のとおり。
- 委員会での検討はマクロではなくミクロ会計に限定すべき。
- 自治体の会計体系自体問い直されている中で「環境会計」をどう考えていけばよいのか。
- 環境関連予算と環境会計の差が何かを詰めるべき。
- 自治体にとっての環境会計導入の意義や目的をふまえて、自治体として考えられる環境保全活動を列挙して費目を分類してみてはどうか。
- ごみ処理事業で環境会計導入すると、住民としては事業の環境保全の側面より事務的な効率で評価してしまうだろう。
- 公共事業のコスト・ベネフィットは算出できるのではないか。
- 政策の部分のコストと効果をどこまで切り出すかむずかしい。
- 自治体の環境会計導入が進めば、企業の社会的コストが判明し、企業の環境会計の全貌が明らかになるという社会的意義もある。
【水俣環境マネジメントシステム視察会】
- 日時:1999年11月18〜19日
- 場所:熊本県水俣市
- 参加者:自治体関係者ほか?名
概要:自力で構築した水俣市のISO14001マネジメントシステムについて、認証取得までのスケジュールと作業内容について、膨大な資料をもとに詳細な説明を受けた。
また、水俣市と地元の商工会議所との連携による市民版ISO「我が家のISO」や水俣市とごみ減量会議の連携による地元の小売業等の「エコショップ」認定制度について、商工会議所の担当者、ごみ減量会議の関係者からそれぞれ経緯等を伺った。その後、質疑応答の時間をもった。視察会参加者のなかには、近い将来に認証取得をめざす自治体もあり、内実にふみこんだ意見が交わされた。また、ごみの21分別の現場や清掃工場の見学も行った。
【第3回部会】
- 日時:2000年1月17日(月)10:30〜12:30
- 場所:市民運動全国センター会議室(東京都千代田区)
- 出席:事務局含め5名
議事概要:
いままでの議論をふまえて、課題をいくつかに絞って検討することし、中口氏の提案により、「自治体の望ましい環境マネジメントに関する10の論点案」(別掲)を考案。このうち、論点案1、2、4、5を主に検討した。
合意がとれたと思われるポイントは以下のとおり。
- この委員会でめざしたいことは「望ましい環境マネジメントシステムのあり方」ではなく、「望ましい環境政策のマネジメントの仕方」
- EMSの定義ではなく、環境マネジメントシステムの要素や種々の手法の使い方を整理する。環境マネジメントと環境マネジメントシステムとマネジメントシステムのちがいをどう整理するかが課題。
- ISO14001と環境基本計画など既存の環境行政のツール/施策を同列に論じることはできない。
- ISO14001では政策立案もできないし、新たな法律を生み出すこともできない(ISO14001はツールにすぎず、内容の決定についてISO14001は何も要求していない。また、最高意思決定機関は議会)。
- ISO14001の要求事項以上に何を入れるかは(市民参加、情報公開など)、自治体が決めること。
- 内部監査、外部監査への市民参加については、自治体の事例をヒアリングする。
- EMSを導入するメリットは何かを整理する(EMSを導入していない自治体向けに)
- ISO14001の導入のメリットは何かを整理する。
(参考)「望ましい自治体の環境マネジメントのあり方」10の論点案
- (1)環境マネジメントシステムの用語の定義や使い方が不明確 →自治体の環境行政の実状に合わせた用語やその定義を検討する
- (2)それぞれの自治体の環境マネジメントシステム(EMS)導入の目的をもっと明確にすべきでは →環境自治体としての熟度に応じたEMS導入の目的を整理する
- (3)自治体EMSの範囲、EMS推進ツールの相互関係や役割に関する整理が不充分 →これまで環境行政で用いられてきたツール(環境基本計画など)やISOの特性を把握し、それらの望ましい役割について検討する
- (4)EMSと高次の政策判断、議会や条例との関係に対する整理が不充分 →EMSを用いてどのレベルまでの政策立案・意思決定が可能かについて、また、ISO14001と議会、法律・条例の関係を整理する
- (5)EMSへの市民の関与が不充分 →EMSにおける目標設定、実行結果の評価や見直しにおける、望ましい市民の関与の方法について検討する
- (6)EMSの環境評価手法と他の行政評価手法の関係整理が不充分 →事務事業評価システムなどの行政評価手法と、ISO14001や環境基本計画などにおける環境評価手法との相互関係を整理する。
- (7)EMSを環境保全型まちづくりに活用する方法に関する議論が不足 →企業や市民の自主的取り組みを支援する方法を含め、環境保全型まちづくりの先導役としてのEMSの活用方法を検討する
- (8)そもそもEMSで環境は保全・改善されるのか? →パフォーマンスの追跡によりEMSの効用と限界を明らかにする
- (9)ISO14001の自己宣言、審査登録機関による第3者認証以外のEMSも摸索されてよいのではないか。 →ケーススタディを通じて自己宣言または市民環境監査の効用と限界を明らかにする
- (10)EMS導入において環境会計(物量会計ではなく財務会計)をどうとらえていくか? →自治体における環境会計の導入ステップとEMS適用のステップの関連を整理する
【第2回専門委員会】
- 日時:2000年2月9日(水)13:30〜15:30
- 場所:日本染色会館会議室(東京都千代田区)
- 参加者:一般オブザーバー、マスメディア関係者を含め約30名。
議事概要:
当委員会の設置趣旨、目的などの確認、いままでの検討経緯の報告がなされ、内容の確認に関する若干の質疑応答があった。また、会員自治体の環境マネジメントの現状と課題について、水俣市、日野市の報告があった。
その後、環境マネジメント実践プログラムの提案(詳細は別掲)およびその意見交換を行った。飯田市、日野市、指宿市が実践プログラムに参加の方向でのコメントもあった。 さらに水俣会議についての案内も、水俣市長からなされた。
(参考)環境マネジメント実践プログラム
- (1)目的 望ましい環境政策のマネジメント手法について実践的に検証し、現実の政策実務や市民参加のニーズなどに即した提案を行う。
- (2)内容 環境マネジメントシステム専門委員会に参加している自治体を中心として、下記のうちいずれかを実践していただく。
- @著しい環境側面を特定する際の住民意識反映 [趣旨]事務事業の環境影響を把握し、優先順位を判断する。その中に、そこに住む住民の意識を反映させることができるのかを検証する。今までも、環境基本計画策定のはじめに意識調査があったが、免罪符的な役割が大きく、それに基づいて施策の優先順位を決めるのはまれであった。場合によっては、役所の中の事務活動についても住民の意思を反映させることができるのではないかということをみてみる。
- A目的、目標の達成評価における市民監査の導入 [趣旨]環境基本計画やISO14001では環境配慮の進捗状況を基づいて行うが、そのときに市民や外部の専門家による環境監査を実施する。政策の評価やエコオフィスのチェックにも関係する分野である。
- B地域版ミニISO登録制度の創設 [趣旨]地域全体へ環境マネジメントを波及させていくための認証制度、例えば、市民の中で、何項目か実行していこうという人を自治体独自に認定していく。必要性、ネーミングの問題も含めて、実践的に検討していく。
- (3)対象 市町村および都道府県の本庁舎および出先機関、もしくは環境基本計画やローカルアジェンダ推進のための市民・事業者・行政のパートナーシップ組織
- (4)プログラムへの参加条件 環境自治体会議の会員・非会員を問わないが、活動成果を環境自治体会議に報告すること。 環境自治体会議で活動成果を公表することを可とすること。
環境自治体会議会員は会員自治体や環境自治体会議事務局から随時アドバイスを受けられる。
- (5)スケジュール 2000年2月から1年間を目処とする。
【第1回行政評価プロジェクト】
- 日時:2000年2月9日(水)16:00〜18:00
- 場所:市民運動全国センター会議室(東京都千代田区)
- 参加者:事務局含め約20名
議事概要:
秋田県二ツ井町の著しい環境側面特定の事例が、環境自治体会議の中口氏から紹介され、質疑応答がなされた。また、その他の自治体の環境マネジメントについて、この場に参加していた自治体の担当者、コンサルタントなどからそれぞれ、実情が紹介され、意見交換が行われた。
【第4回部会】
- 日時:2000年4月25日(火)10:00〜12:00
- 場所:市民運動全国センター(東京都千代田区)
- 参加者:事務局含め6名
議事概要:
第3回部会で議論しきれなかった論点案の議論を行い、今後の検討の方向性についての意見交換を行った。
主な意見交換は以下のとおり。
- 従来の環境基本計画の環境影響評価とISO14001の著しい環境側面特定のプロセスは、似ているところはあるが、一致しない。
- 異なる住民ニーズを環境影響評価洗い出しなどに反映する手法として、何が望ましいか検討する必要がある。
- 公共事業に関する環境影響評価をどのように検討するかは議論が必要ではないか。
- 住民の満足度、事業の効率性は別の評価尺度が必要ではないか。
- 環境会計は目的によって手法も範囲も異なる。無理に自治体全体の会計とリンクする必要はないのではないか。 *監査への市民参加の質の向上は、監査委員の構成に左右されるといえそうだ。
- 環境基本計画、率先実行計画、ISO14001を実践している自治体をどこか視察してはどうか。
- いままでの議論の到達点を確認するためにも、10の論点の連関も含めて議論を整理すべき。
(文責:角田季美枝)