木の国秋田に、語り継がれてきた遺訓がある。
「国の宝は山なり」「山の衰えは国の衰えなり」
今日、山の衰えは明らかである。
その姿が語りかけるものは、直接的には農林業の衰退であり、農山村の疲弊であり、存廃の岐路に立つ農山村地域の危機的な状況である。同時に、透けて見えるものは、農林産物などの大量輸入とそれがもたらす途上国の環境問題であり、そこに介在する企業のあやうさであり、結果として食の安全性すらおびやかされる都市生活の不安定さである。
「山」を「環境」と置き換えれば、状況はさらに鮮明になる。
地球温暖化、エネルギー、交通、廃棄物処理などの環境問題、農林業を機軸とした環境産業の振興など、問題は多様に存在している。「国の宝は環境」であると思うとき、すでに「環境の衰え」が進行し、「国の衰え」が始まっているにもかかわらず、私たちの関心と思いは十分には及んでいない。
池田会議から10年。私たちは記念すべき第10回環境自治体会議二ツ井白神会議に集った。
白神山地は1993年、屋久島とともにわが国初の世界遺産に登録された。大規模林道建設計画に地元秋田・青森の自然保護、環境保護関係者が異を唱え、全国に運動の輪を広げ、ついに白神を守ったのであった。白神の保存はまさしく20世紀後半に積み重ねられた市民運動の成果であり、いまなお全国において生々しい自然保護と開発のあり方に教訓と示唆を与えている。
環境自治体づくりの歩みを振り返れば、環境政策の実施・点検、政策への市民参加という点で大きな進展があった。しかし、多くの地域において「環境の衰え」は依然として進行している。このような状況の改善・解決を期すには、住民との「協働」が欠かせないものである。
「協働」の概念は、行政主体である自治体の政策に対し、情報公開などを通じ、住民の参加と協力を求めていくことに主眼が置かれてきたが、一定の時間とプロセスを経て、むしろ住民の主体的な行動に自治体が協働する形を想定し、課題と状況によって、住民相互の協働、自治体間の協働、住民・行政と企業との協働へと進化していくべきものであることを認識し、確認した。
そのために、引き続き、互いの信頼と尊重のうえに交流と連携、協働と連帯を重ね、21世紀型社会の創造に努力し、新時代の環境を築き上げていくことをここに誓う。
以上、宣言する。
2002年5月24日
第10回環境自治体会議参加者一同