安塚町会議宣言

環境自治体会議は、第1回北海道池田町、第2回沖縄県読谷村で開かれ着実に日本の自治体・市民に受け入れられ発展してきました。そして、今年1994年に新潟県安塚町で第3回会議が開かれたことを参加者すべての気持ちで喜びたいと思います。

しかし、会議の発展が事態の改善を意味するものではありません。オゾン層の破壊がさらに進んでいることに象徴されるように、むしろ地球環境は悪化の一途をたどっているのであります。1992年のブラジルでの国際的合意も、その実現となるとはなはだ心もとないことは、その政策実現の主体である私たち自治体をかえりみれば明らかです。

ローカル・アジェンダ21の策定がはかばかしい進展を見せていないということだけではなく、地域の環境、すなわち、安全な食物やきれいな水の確保、廃棄物の減少や身近な自然の保全さえ、思うにまかせないことはご承知のとおりであります。

第3回環境自治体会議は「都市と農村、地域と地球、響きあう環境自治体づくり」をテーマといたしました。そもそも『環境と地域開発』という一見対立する問題を自治体の場でどう解決していくかという模索の中で生まれたスローガンでした。古くて新しい課題であり、また、たえず問い返されなければならない課題でもあります。三日間の討論で一定の方向が見えたとはいえ、簡単に結論が出る事柄ではありません。しかし、「地域から声を大にして国内、世界に発信しよう」という参加者の強い意思と、いくつかの基本的な原則は明らかになりました。

第一に、地球環境の保全をすすめるためには、何よりその土地固有の地域資源が積極的に活用されなければならないということです。自分たちの資源、すなわち土壌、森林、水、河、海が荒廃し、その資源を基盤とする産業が衰退してしまい、他の地域の資源や産業に安易に依存することは、ますます地球環境の悪化を招くことになっております。とくに、日本の全国土の4割以上は『中山間地』でありますが、この『中山間地』の資源の活用なくして日本の環境問題の解決はあり得ず、地球環境の保全や、南北問題の解決もないということです。

第二に、そうであればなおのこと、その対策の主体として、地域の在り方に責任を持つ自治体の役割がますます重要になります。

第三に、いわゆる都市と農村、川上と川下など地域間のネットワークを自治体同士の努力でつくりあげ、矛盾と対立をお互い知ると同時にその一体性と関連性に心を配るということが大切になります。

第四に、このことは日本国内にとどまらず、地球規模での自治体間の自立的協力体制の確立が急がれます。とくに米の市場開放が進められたウルグアイラウンドの後は『環境と貿易』に関するグリーン・ラウンドが国際的に注目されております。各地域の環境政策が、自由貿易の原則と、より厳しく衝突することが予測されています。このグリーン・ラウンドの行方次第では地域資源の荒廃と偏重が加速されかねません。まさに地球のことは地球に直結しているといってよいでしょう。

第五に、それにしても環境問題はすぐれて具体的、実践的課題であるとともに市民相互の教育、学習の問題であるということです。自治体の場での実践・市民参加・市民教育はどれも欠かせぬ要素であります。

第六に、いま、分権の時代といわれております。まさに、自治体が主体にならなければなりません。それだけに自治体の意思を束縛するだけでなく、行動を制限する、さまざまな中央政府の指導・規制が最小限に抑制されることが望まれています。

1994年、新潟県安塚町に集まった環境自治体会議参加者は、以上の六点について互いに理解を深めるとともに、日本の、そして世界の、自治体の仲間にそのことを伝えたいと思います。

また、次の会議ではそれぞれの豊富な実践事例を報告しあうことを誓います。

以上宣言致します。

1994年5月27日
第3回環境自治体会議参加者一同