本節では、環境自治体会議の共通目標に基づき、@分野ごとの環境対策実施状況、A環境の状況を測る指標値の調査・分析について、自治体調査をもとに集計分析を行いました。
調査対象自治体は、調査開始時点(2004年10月)における当会会員自治体です。
本調査は、@の調査については前年度実績を、A調査については、基礎データの公表・取りまとめの時期が遅れることを勘案し、前々年度実績の回答をいただくことにしておりますが、平成の大合併により新組織になってしまい、当該年度の実績がわからなくなってしまった自治体があります。そのような自治体については、合併後の実績で回答してもよいことにいたしました。したがって今回は実績の回答年次が異なる自治体が混在していることをご承知おきください。
共通目標達成にむけて会員自治体が一斉に取り組むことは、水俣会議を契機に行われたものです。年次報告書の発行を重ねるにつれ、数値が良い方向に動いていけば(あるいは維持されれば)、共通目標達成に向けての各自治体の努力が数字に現われてきていると考えられます。そこで、本書では、単年度の実績値に加え、過去数年にわたる実施対策の変化率などをグラフ化することで、会員自治体の環境政策への取組み動向を表わしています。
会員自治体を人口規模別に見ると、人口40万人を超える自治体から3千人未満の小さな自治体まであるため、必ずしも地域特性の似通った地域どうしの比較になるとは限りません。そこで前回の環境自治体白書では、農水省や旧国土庁でよく用いられた農業地域類型区分(都市的地域、平地農業地域、中間農業地域、山間農業地域)によって会員自治体を分け、各自治体が属する類型の平均値と比較できるようにしました。しかしこの類型は平成の大合併によって崩れてしまい、使うことができなくなってしまいました。
そこで今回の白書では、人口密度によって4つの類型に分けることにしました。50人/ku未満の市町村は人のまばらな農山村地域であり、50〜500人/kuでは市街地と点在する市町村、500〜5000人/kuの市町村は市街地の面積のほうが非市街地より卓越した市町村、5000人/ku以上の市町村はほぼ全域にわたって市街化された市町村とみることができます。
表 回答自治体の類型と調査年次
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人口密度類型 |
自治体名(回答年次) |
回答自治体数 |
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50人/ku未満 |
斜里町(2004年度)、士幌町(2004年度)、小笠原村(2004年度)、上屋久町(2004年度)、屋久町(2004年度) |
5 |
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50〜500人/ku |
新・釧路市(2005.10.11〜)、二ツ井町(2004年度)(現・能代市)、高畠町(2004年度)、遊佐町(2004年度)、新・越前市(2005.10.1〜)、新・大野市(2005.11.7〜)、(新規会員)勝山市(2004年度)、新・飯田市(2005.10.1〜)、新・新城市(2005.10.1〜)、新・高島市(2005.1.1〜)、新・東近江市(2005.2.11〜)、新・内子町(2005.1.1〜)、水俣市(2004年度)、本渡市(2004年度)(現・天草市)、綾町(2004年度)、新・指宿市(2006.1.1〜)、新・南さつま市(2005.11.7〜)、新・日置市(2005.5.1〜) |
18 |
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500〜 5000人/ku |
新・古河市(2005.9.12〜)、東海村(2004年度)、川越市(2004年度)、久喜市(2004年度)、我孫子市(2004年度)、(新規会員)八王子市(2004年度)、鯖江市(2004年度)、多治見市(2004年度)、新・磐田市(2005.4.1〜)、八幡市(2004年度)、池田市(2004年度)、(新規会員)箕面市(2004年度)、新・光市(2004.10.3〜)、新居浜市(2004年度)、久留米市(2004年度)、筑後市(2004年度)、筑紫野市(2004年度)、古賀市(2004年度)、大木町(2004年度)、読谷村(2004年度) |
20 |
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5000人/ku 以上 |
杉並区(2004年度)、日野市(2004年度)、豊中市(2004年度)、枚方市(2004年度)、(新規会員)伊丹市(2004年度) |
5 |
対策実施調査は今回で7回目になり、調査を始めた当時にはなかった新たな対策が実施されるようになってきました。そこで今回は各分野の対策を大幅に見直し・追加し、全体で193対策から233対策としました。したがって2003年度から2004年度にかけての対策数の増加量は、これまでの増加量よりも必然的に多くなることに注意を払う必要があります。
表 調査対象対策数

全自治体における1自治体あたり平均実施対策数は、調査を開始した1998年から一貫して増加しており、2004年では71対策となりました。
人口密度類型別にみると、2004年では、5000人/ku以上が101対策と最も多く、50〜500人/kuと500〜5000人/kuの自治体がそれぞれ72対策、71対策と同程度となっています。
過去の年次と比べると、全体で98年からは1自治体あたり37対策増加しています。03〜04年度にかけては1999年以降最も大きな増加となる11対策の増加を示しましたが、これは、調査対象対策数を約2割増やしたことを勘案しても、大きな増加といえます。中でも前年からの実施数の伸びは「4.自然環境」や「7.環境行政」の分野で高く、「3.水環境」や「6.有害物質」における取り組みは、依然として進みにくい傾向にあることがわかります。一方、調査を開始した1998年から2004年までの6年間の分野別増加数をみた場合、「自然環境」、「環境行政」、「廃棄物」の分野が多いのに対し、「有害物質」が最も少なくなっています。
表 1自治体あたり平均実施対策数の経年変化

本項では、共通目標分野における各自治体の対策実施状況について、調査票から得られた集計結果をもとに、ランキングを行いました。規模や特性の異なる自治体を一律に比較することは難しいため、人口あたり、分野別など、さまざまな形でのランキングを試みています。
ただし、本ランキングは、あくまでも対策数という切り口から各自治体の相対的な実施状況をランキングしたものであり、対策の優劣を表すものではありません。また、「対策数の多さ=地域環境の向上」であるとは必ずしも言い切れないことにも留意しつつ、ご参照ください。
対策実施数の多い自治体では、昨年回答のあった川崎市が抜け、合併の影響もあるのか、順位がやや変動しています。トップは飯田市(124対策)で、昨年の7位(93対策)から大きく対策数が増加しています。枚方市(122対策)、多治見市(121対策)は昨年の同数4位から着実に対策数をのばしています。昨年は武生市として2位だった、越前市(120対策)も、上位をキープしています。日野市、水俣市も同じく上位にランクインしています。今年上位15位に新たに加わった自治体としては、我孫子市、杉並区、伊丹市、指宿市があげられます。
表 実施対策数ランキング

※合併した自治体(過去とは行政域の範囲が違うことに注意)
03〜04年度にかけて、取り組み実施増加数のとくに大きい自治体は、我孫子市と筑紫野市でした。我孫子市は大気環境分野で10対策、自然環境分野で9対策増加するなど、各分野で軒並み増加しています。筑紫野市は自然環境分野で10対策増加し、廃棄物や環境行政分野でも対策がかなり増加しています。
このほか、杉並区の増加数が23、枚方市が20、多治見市が19など、総対策数で上位入りしている自治体の増加数が大きくなっています。小規模自治体では綾町、二ツ井町、高畠町といったところも対策数をのばしています。
表 取り組み実施対策 増加数ランキング

人口あたり・職員あたり実施数で見ると、実施対策数ランキングと異なり、小規模町村がランキングの上位を占めています。人口割では1昨年に引き続き3年連続1位の東京都小笠原村を筆頭に、と小規模町村が上位を占め、職員数割では宮崎県綾町が昨年に続き1位となり、これに小笠原村、旧愛東町、勝山市、大木町、二ツ井町などが続いています。
表 人口1000人あたり実施数

表 職員100人あたり実施数

※合併した自治体
次に人口規模別に対策実施数ランキングを示しました。
人口規模1万人未満では宮崎県綾町が対策実施数72で2年連続トップ、1〜3万人では新規に加入した福井県勝山市が対策数77でトップ、3〜5万人では熊本県水俣市が対策数113で2年連続トップ、5〜10万人では福井県越前市(旧武生市)が120でトップ、10万人以上では長野県飯田市が124でトップとなりました。
表 人口規模別人口1000人あたり実施数
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1万人未満
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1〜3万人
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3〜5万人
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5〜10万人
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10万人以上
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※合併した自治体
共通目標の分野ごとに、実施数の多い自治体を並べると、以下のようになりました。実施数ベースでは人口規模の大きい自治体が上位に多く入りますが、それでも例えば水環境分野で宮崎県綾町(人口約8千人)や山形県遊佐町(人口約1万8千人)が上位となっている等、人口規模が大きくなくとも上位にランクインしている自治体もあり、各自治体の特色を生かした環境対策が進められていることが伺えます。
表 共通目標分野別実施数
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(3)共通目標の進捗状況を測る指標の動向
次の表は今回調べた指標項目と、そのおおまかな傾向を示しています。今回の調査では、新たに加入した自治体に対して2000年の数値までさかのぼって回答していただくことはしませんでした。そこで今回は2000年〜2003年の有効とみられる回答のあった自治体をすべて含んだ数値のため、昨年の数値と値が変わっています。単純には時系列比較ができないことをご承知おきください。
全体としてみると、廃棄物、環境マネジメント、住民参加の分野では指標値がよくなっていますが、地球環境、自然環境の分野では必ずしも良くなっているとはいえない傾向がみられました。
表 共通目標の進捗状況を測る指標の総括表
