この資料は、2003年4月〜2004年2月までの期間にかけて、一ないし数個の都道府県単位で発行される地方日刊紙などの情報媒体を参考に、環境自治体会議の共通目標の分野ごとに関連した動向を分析したものである。環境政策に関してどのような先進例があるかを知ることによって、環境政策の企画・実施の一助となることを目的として編集したので、ぜひ活用いただきたい。太字は先進自治体、団体名。
この項目は、省エネ・環境にやさしいエネルギー(新エネ、代替エネ)・地球温暖化防止に関する内容を扱う。
2003年になってから、都道府県レベルにおけるエネルギー政策条例が2つ制定・施行された。一つは、岩手県の「新エネルギー導入促進・省エネルギー促進条例」(2003年3月19日施行)、もう一つは、大分県の「エコエネルギー導入促進条例」(2003年4月1日施行)である。これら以前にも、北海道の「省エネルギー・新エネルギー促進条例」(2001年4月1日施行)、宮城県の「自然エネルギー等・省エネルギー促進条例」(2002年10月1日施行)があったため、合計4つの都道府県条例が制定されていることになる。
岩手県条例は、18条から構成されている。条例制定過程のパブリックコメントにおいて、県民や市町村から比較的多くまた多様な意見が提出され、それらに対する県の考え方や反映状況も公表されている。また、内容についても他条例と比較して、それなりの違いを出す工夫が随所に見られる。
例えば、精神的な理念宣言となりがちな前文を排し、条例本文の目的で「エネルギー自給率の向上」を明示していること、電気事業者に関する規定を一条設けていること、エネルギー施策と環境との調和を基本的方針としていること、施策の方向性として「県民の日常生活における公共交通機関の利用、自転車の使用等を促進し、環境の保全に配慮した地域社会の形成」や「事業者による新エネルギーの導入及び省エネルギーに関しての土地の形状の変更、工作物の新設その他これらに類する事業が環境の保全に配慮して行われるよう誘導に努める」ことを挙げたことなどである。
次に、大分県条例は、前文及び19条から構成され、前文では、「環境立県おおいた」の実現に向けて、「地球的な規模で考え、地域から行動」、「国際協力」、「県民、事業者、行政の共働」の視点が強調されている。具体的な規定をみると、前3つの条例と比較して、省エネルギーが明示されていない点が問題である。すなわち、「環境への負荷が少ないエネルギー又はエネルギーの利用形態であって、規則で定めるもの」という表現があるのみである。計画策定については、県「エコエネルギー導入促進基本計画」をつくるとされている。北海道、宮城県に比べて後発組である割には、国際協力の推進以外にこれといった特徴はみられない。県のHPによれば、「大分県で培った中小水力、地熱などのエコエネルギー技術をアジア諸国等に提供して、国境を越えた環境問題解決に貢献します」とあり、今後の展開に期待するところが大きいといえよう。
エネルギー分野の取り組みも含んだ「温暖化防止条例」制定の動きは京都市で進んでいる。京都市条例の案及び制定過程をみると、詳細な内容と市民団体・行政などが協働しての検討過程に大きな特徴がある(平岡俊一+田浦健朗「市民参加による地球温暖化防止条例の策定を目指して(京都市)」、『月刊自治研』2003年12月号等参照)。
自然エネルギーの種類それぞれについて、全国的な概況と注目事例及び課題をみておこう。
日本の太陽光発電設備生産量は世界一であり、設置世帯(全国で約14万件以上といわれる)の割合も世界的に高いといえよう。2003年5月、関東圏1都8県の東京電力管内の太陽光発電設置者を中心に「太陽光発電所ネットワーク(PV−ネット)」が設立され、太陽光発電設置者の発電環境の充実、設置者同士の意見・経験交流、電気事業者・太陽光発電関係メーカー及び設置事業者との意見交換、設置予定者の啓発を行い、社会に働きかける活動を展開している(会員約1000世帯)。
また、太陽光発電設置助成を行う自治体も増加しており、その数は200とも300ともいわれる。中でも、庁舎の省エネ(ESCO)事業であがった利益を「環境基金」として市民に還元している東京都三鷹市の例は注目に値する。
風力発電については、RPS法(電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法)施行などの影響もあり、電力会社による風力由来の電力買い上げは抽選制の入札が導入され、特に自治体主導の風力発電は壁に当たっているところが多くなってきた。例えば、北海道恵山町の第3セクター「恵山クリーンエネルギー開発」(社長・工藤篤町長)は2004年3月、函館地裁に自己破産を申請し、破産宣告を受けた。負債総額は4.8億円で、風力発電量が計画を大きく下回り、売り上げが振るわなかったのが要因と報じられている。初年度は年間発電量の計画約680万kW時に対し、実績は約165万kW時にとどまり、約4600万円の赤字を計上していた。同社をめぐっては、計画の元になった風速計測データに誤りがあるなど、不透明な設立経緯が町議会で問題化している(04.3.26、3.30函館新聞)。
また、同じく北海道江差町の第3セクター「江差ウインドパワー」(社長・濱谷一治町長)でも、風車の配置など、発電所の基本設計に問題がある可能性が高いことが指摘されている。風車の運転状況を調べたところ、稼働率は平均96.4%と比較的良好な値であるにもかかわらず、実際の発電出力の割合を示す設備利用率は平均14.6%と当初計画の半分に満たない状態だった。検証委員会の調査では、全28基の風車のうち、風下側の風車で著しく設備利用率が低下する傾向があることがわかり、地形に対する風車の配置、風車間の距離が近付きすぎていることなどの原因が疑われている。同委は、シミュレーションも実施し、配置見直しを含む解決策について議論する予定(04.3.30函館新聞)。
しかし、全国的には、対馬に初の風力発電完成(03.4.17長崎新聞)、青山高原で風車20基が新たに稼動(03.5.15伊勢新聞)、市民風車「はまかぜちゃん」(北海道浜頓別町に設置)が順調な配当を生む(03.5.30北海道新聞)、熊本県西原村に九州最大級の風力発電10基の設置計画(03.6.4熊本日日新聞)、佐賀県玄海町に風力発電14基設置(03.6・12佐賀新聞)、伊予三島から川之江にかけて西日本一の風力発電計画(03.7.29愛媛新聞)、北海道瀬棚町に全国初の洋上風力発電設置(03.8.28北海道新聞)、市民風車第2,3号(青森県鯵ヶ沢町、秋田県天王町に設置)の出資が順調に集まる(03.11.11東奥日報など)、岩手県葛巻町で町内電力自給率100%以上を達成(03.12.5岩手日報など)、高知県葉山村に風力発電20基設置(04.1.8高知新聞)など明るいニュースも多い。
バイオマス利用については、発電と熱利用の2通りがあるが、ストーブ等の熱源として利用する木質ペレットの普及を目的とした「ペレットクラブ」が2004年4月に発足している。
最後に、省エネについては、自治体独自のわかりやすい省エネ家電ラベリング、NPO主導の家電(冷蔵庫)買い替え融資制度、学校の省エネ金額のキックバック制度に注目すべきである。
自治体独自の省エネ家電ラベリングは、東京都や京都府において、NGOなどと自治体が連携して、取り組みが行なわれている。東京都は2002年2月に、国の温暖化対策の強化を求め、「温暖化阻止!東京作戦」を打ち出したが、それを受けて、同年7〜8月に「“少”エネ商品拡大キャンペーン」を、全国149店舗(都内91店舗、都外(6府県)58店舗)で実施した。この対象は、エアコン及び冷蔵庫で、消費電力量の少ない商品を、よりわかりやすく、より選びやすくするため、販売店で、製品本体への独自省エネラベル表示を行った。翌2003年3〜5月には、京都市の「京のアジェンダ21フォーラム」が同趣旨のキャンペーン(省エネ製品グリーンコンシューマーキャンペーン)を実施した。2004年2〜4月には、新入学等新しい生活を始める人へのアピールもねらって、「家電で“少”エネ新生活キャンペーン」を京都市などと同時期に実施した。このキャンペーンには、中央大学、早稲田大学、法政大学、明治大学の環境サークル及び大学生協も協力した。
家電買い替え融資制度は、東京にあるNPO「足元から地球温暖化を考える市民ネット・えどがわ」が実施している。対象家電は現在のところ、冷蔵庫のみで、省エネによって達成できる節電料金5年分をNPOが肩代わりして、無利子で融資する仕組みである。返済も省エネ節電料金分でまかなう計算なので、買い替え時には追加の出費が必要ないことがポイントになっている。
和歌山県で2003年度から始まっている「エコスクール推進事業」は、省エネを楽しく、また経済的に得な仕組みをつくっていく先進例として位置づけられるだろう。ここで言うエコスクールとは、学校が敷地内の積極的な緑化など環境に配慮した施設づくりを進めることと、環境教育・環境保全活動に積極的に取り組むことの2つの意味をもつ。和歌山県における県立学校の光熱水費は、2001年度決算で約5億円にのぼる。その内訳は、電気72%、水24%、ガス4%となっており、CO2排出量では、県立学校1校あたり約200tになるという。県教育庁の試算によれば、光熱水費を5%減額できれば、CO2排出量は8%削減できるという。
今年度のエコスクール推進事業は48の県立学校で実施される予定で、具体的には、学校ごとが行う省エネ活動によって浮いた光熱水費の6割がその学校にボーナスとして還元される。このボーナスの内訳は、学校敷地内植樹のための経費に充てられるのが半分で、後の半分は学校が自由に物品を購入するための資金として還元される。
削減された光熱水費の残りの4割については、削減された光熱水費をCO2量に換算して、その削減量の大きい学校に対して追加配当し、配当された学校を特に省エネに貢献したとして表彰する。
これまでの県立学校の予算は、一般行政の予算と同じように、省エネや節約で使い残してもその分が余るだけで、努力した人には何の得にもならなかった。さらに極端な場合は、予算を余らせるとその後の予算が減額されるということにもなりかねなかった。しかしこの新しい取り組みは、省エネの努力に応じた分だけ予算として還元される点がこれまでとは異なり、先進的だといえる。
この他に和歌山県では今年度、環境教育の基本となる「環境教育指針」や環境学習プログラムの作成も予定されている。さらに、学校版ISOをめざす「きのくにエコスクール基準」のモデル校指定も予定されており、これらの事業が総合的に展開されつつあるようにみえる。
大気環境は、地球温暖化、大気汚染、化学物質など多岐にわたるが、たとえば温室効果ガスを削減する対策は、大気汚染物質の削減にも有効であるなど、連動した効果が期待できる。また中規模以上の都市では、渋滞対策としても共通に有効であることが多い。この項では交通にかかわる温室効果ガスの問題について取り上げるが、交通対策は、自治体のかかわる環境対策全般にかかわる政策である。最近の、地域における興味深い取組みとして、次のような事例を紹介する。
長野県松本市に本社を持つ鍋林(株)では、2001年にISO14001を取得したが、環境方針としてエネルギーの有効利用を掲げている中で、「通勤車両ノーカーデー」を実施している。毎週木曜日を通勤車両ノーカーデーとし、通勤費の増加分を会社負担とするなど、経済的な裏づけを用意するとともに、無理のない範囲で社員に協力を呼びかけた。その結果、2002年度には、社員550人に対して、ノーカーデー参加車両が延べ16,500台、燃料節減量が延べ32,200リットル、CO2削減量が延べ77トンという成果を挙げている。
また今年度は、比較的大きな自治体で、市民との協働を含めた総合的な交通対策により、交通環境負荷の削減をめざす動きが目立った。北海道札幌市では、2001年に都心部の自動車の通り抜け制限と、駅前通りの歩行者専用化などを内容とする『札幌市都心交通ビジョン』を提案したところ、市民の間に賛否双方の大論争が起こった。そこで市民・商業者・交通事業者などが共に参加する懇談会を重ねたのち、2003年度には、市民の理解を得るため「さっぽろ都心フォーラム」「1,000人ワークショップ」が開催された。この他長野県松本市の「松本市ノーマイカーデー推進市民会議」、福岡県福岡市の「福岡市ノーマイカー市民連絡会」などの活動がある。ただし残念ながら、これらの中でまだ実施に至った例はない。
公共交通のトピックスとして、経営難と事故のため休止状態に追い込まれた旧京福電鉄が、第三セクターのえちぜん鉄道として2003年10月に復活した。単に赤字を税金で埋めるという考え方でなく、バスに転換した場合の沿線利用者の運賃負担増加、時間負担増加など、社会的な費用・便益のシミュレーションを行い、鉄道を存続させたほうが社会的に効率的であるという評価にもとづいて、存続が決定されたことが注目される点である。一方で、ちほく高原鉄道(北海道)、秋田内陸縦貫鉄道(秋田県)、のと鉄道(石川県)、日立電鉄・鹿島鉄道(茨城県)、岐阜市内線(路面電車・岐阜県岐阜市)など、公共交通の廃止の動きが表面化し、特に地域の青少年のモビリティ確保と、自動車への転換による環境負荷の増大が懸念されている。
コミュニティバスの事例では、地域の人口密度などの点から全国どこでも適用できるという条件ではないが、埼玉県三郷市の事例が注目される。全国的に利用実態の良くないコミュニティバスが少なくないが、1便あたりの平均利用人数が10人を超えるなど、武蔵野市と並び成功事例として注目される。
交通対策というと、一般に渋滞や排気ガスなど、大都市の問題と考えられがちであるが、地域の住民のモビリティ確保は、自治体の重要な政策課題であるという認識が広まってきたように思われる。
自治体における温室効果ガス削減の率先実行(自治体業務での削減)の取組みは重要であるが、これを地域全体に広げる必要がある。
そのためには、まず地域からどのくらい交通に起因する温室効果ガス(ほとんどCO2なので、CO2とする)が発生しているか、定量的に把握し、それに対して何%削減すべきかという定量目標を設定する必要がある。ところが交通部門からのCO2量の推計にあたって、自治体業務だけであれば、燃料消費量(ガソリン・軽油)から容易に求められるが、地域全体になると、推計に必要な基本的なデータをなかなか見つけることができず、むずかしいことが多い。
こうした現状から、環境自治体会議環境政策研究所では、すべての自治体で共通的に使えるような排出量推計ツールの開発を試みている(環境省受託)。まだ公開できる状態になっていないが、一部の市町村について数字を試算しているので、参考にされたい方は個別に問い合わせ願いたい。
つぎに、ある対策を実施した時に、どのくらいCO2量が削減されるかを予測あるいは検証する必要がある。これについても、まだ国レベルでも確定的な方法が提示されていないが、同じく環境政策研究所では、100円バス・コミュニティバスなどを中心とした、公共交通利用促進対策について、そのCO2削減効果を推計する検討を行っている。また、新潟県長岡市と山口県宇部市では、市民ノーマイカーデーを実施し、交通量の削減効果を測定するとともに、CO2の削減量を推計している。
推計方法の詳細は、ここで記述するスペースがないので省略するが、関心のある方は、環境自治体会議まで問い合わせ願いたい。小規模な自治体ではノーマイカーデー実施のたびに専門家に依頼して交通量測定を実施することは無理と思われるので、アンケートを利用して全体を推定する方法なども紹介されている。
これまで、大都市を除く自治体では、地域の交通を総合的に担当する部門が設けられていない場合も多く、農山村地域の自治体では、環境よりもモビリティ(地域の交通弱者の移動)が切実な課題となっている事情もある。温室効果ガスの削減を目的とした交通対策といっても、それだけを目的とした対策では不十分であり、庁内横断的な取り組みが必要になる。そこで、どのようなデータを集めてどのように対策を企画したらよいか、また成功事例などの情報も必要であろう。このため環境自治体会議では、交通エコロジー・モビリティ財団と協力し、「エコ・モビリティ実現のための手引書(仮)」の作成を試みている。2004年度中に完成をめざしているが、途中の段階でも利用する側のニーズを取り入れ、より良い内容にしたいと考えている。
この項目は、清らかな水辺環境と生活排水処理を扱い、主に浄化槽や水質向上等に関しての記事が当てはまる。
自治体で環境会計を導入する動きが広がっている。公営企業体では、東京都水道局をはじめとし、横浜市水道局や神奈川県企業庁、大阪府水道局、京都府企業局、札幌市水道局、福岡市水道局が公表しているが、下水道事業についても拡大しつつあり、札幌市下水道局の環境会計導入が報じられた。自治体の下水道事業での環境会計導入は東京都、横浜市に次いで全国で3例目となる(北海道新聞2003.8.2)。
札幌市での結果は「環境に関する報告書(平成13年度版)」に収録され、下水道科学館や各区役所・区民センターなどで配布されている(http://www.city.sapporo.jp/gesui/)。
環境保全効果の金額換算など環境会計自体の手法が確立されていないことや、下水道事業そのものが環境保全事業にあたるため経費が高額に算出されてしまうといった課題があるが、札幌市の場合は、管理運営費のうち、主に家庭排水などの汚水浄化費用(下水道使用料)で、直接環境保全にかかる経費(約186億円)とその環境保全効果(約43億円)を示している。
これまで合併処理浄化槽は維持管理で問題があるといわれてきた。しかし、汚水処理施設整備の中心が大都市から中小市町村に移行する中で、下水道の処理水と同等の水質が得られ、整備速度や経費の面から家屋間距離の長い地域における有効な生活排水対策として進められている。環境省でも平成15年度予算から浄化槽市町村整備推進事業における補助要件の大幅な緩和を行ったことも追い風となり、平成15年度当初の同事業の実施市町村数は163自治体と、平成14年度(平成15年1月時点)の実施自治体数120市町村から43自治体が増加した。同事業では、市町村が面的に浄化槽の整備を進め、維持管理も行うことから、面的な整備と適正な維持管理が期待されている。
汚水処理施設整備の進む都市部についても、未整備地域について合併浄化槽躍進の兆しがある。仙台市では平成16年度から、政令市としては初めて、行政主導による浄化槽設置事業を始める(河北新報2004.2.1)。新設の場合、設置時に5〜10人槽で12万円の分担金と設置後に浄化槽の規模に応じた月額使用料を徴収し、市が設置・維持管理を行う。自主的に設置されている既存の浄化槽についても、設備を市が引き取り、新設と同様、使用料を徴収する。いずれの場合も、使用料は定期的な保守点検、槽内清掃、法定検査費用に充てられる。
福岡県香春町では、2003年12月、合併処理浄化槽整備にPFI方式の導入を認める条例を可決した。
自治体PFI推進センターによると、計画または実施されている自治体PFI事業数は111(平成16年3月4日現在)だが、浄化槽整備事業では初のPFI事例となる。同町では、内閣府の2003年度民間資金等活用事業調査費補助を受け、合併処理浄化槽整備のPFI方式による実施可能性について調査を進めてきた。
町が主体となって整備する場合受益者負担は一割だが、競争原理が働くことで受益者負担額の低減が見込まれる。また、民間業者に浄化槽整備の業務を全面的に委託することになり、試算では従来の方式と比べ整備期間は約半分に縮まり、総事業費も約1割削減できるという(西日本新聞2003.12.11)。
この項目は、流域や地域内の循環としての農林業・森林・水環境・緑、そしてそれらの公益的機能の維持等を扱う。
独立行政法人の水資源機構(旧水資源開発公団)が事業主体となって建設を進めていた群馬県片品村の戸倉ダムを巡り、建設中の国直轄ダムとしては初めて建設中止が決まった(読売新聞2003.12.18)。最大の利水者である埼玉県が、新たに試算した2015年の人口に基づく見通し等から県内の長期水需要を大幅に下方修正し、水利権を放棄する方針を決めた。その後、東京都や千葉県などでも撤退が相次ぎ表明、北千葉広域水道企業団(千葉県と8市町で組織)、群馬県渋川市を含めた利水者の4者すべてが、水需要予測の縮小などを理由に、同機構に対して撤退の意思を表明した。国や同機構の直轄ダム事業が、建設着手後に中止されるのは初めて。
大型事業の受け皿となる自治体の姿勢の変化を受け、国交省も水資源政策の全面的な見直しに着手、利根川や荒川など主要七水系のダム事業について、その根拠となる水資源開発基本計画(フルプラン)の新規計画の作成を断念した。これに伴い、新規の水源開発計画は立案せず、広域的、長期的な利水を目的とした新たなダム建設は行われないことになる。
一方で国交省は11月、八ッ場ダム(群馬県)の建設費が従来の予想額から倍増する見通しを発表し、建設費を分担する埼玉県は突然の建設費倍増通告に反発。国の見積もりを問題視し、埼玉県が独自試算を行うことにしていた。国の大型公共事業に対し、自治体が独自試算を行うのは全国でも例がないという(読売新聞2003.12.08)。8月に事業費の四割増を示した徳山ダム(岐阜県)でも、やはり地元自治体などが反発し、水資源機構は事業費削減の方針を示していた。
熊本地域(熊本市など十六市町村)では、生活用水を100%地下水に頼っているが地下水量は減少が続いている。地下水を守るため熊本市は、白川中流にあたる涵養域の同県大津町、菊陽町と保全事業の協定を結んだ。地下水保全を目的に自治体が広域連携するのは全国で初めてという。
協定には、事業の実施主体となる四土地改良区や菊池地域農協などで組織する水循環型営農推進協議会(会長・冨永清次菊陽町長)も調印。一市二町と同協議会は協力して、白川中流域で環境保全型農業を推進する一方、熊本都市圏で農作物の消費拡大を図っていく。保全事業では、減反などで畑作に転用されている両町の水田を対象とし、熊本市が両町の農家に助成金を出し、畑に水を一定期間張ってもらう(熊本日日新聞2004.1.21)。
同流域では地下水保全のため、農家と企業、消費者らとの連携も進んでいる。菊陽町では、地下水を利用する半導体企業が、地元住民や環境NGO、農協などと協力し、水田を利用した地下水の涵養に取り組んでいる。同企業が半導体洗浄などで使用する年間約70万トンに相当する量の水を還元するため、稲作後の水田に一定期間、近くの河川水を引き込み、地下へ水を戻す。水を張ってもらう農家には、企業が協力金を払うとともに、そこで収穫された農産物も工場内の社員食堂で買い取るというものだ。農家にとっても、畑に水を張ることで病害虫を抑制し、農薬を使用せずに済む。これは湛水農法と呼ばれ、大津町の農家が発起人となって、同農法の普及による安全な農産物と質の高い地下水の供給および農家と消費者の交流を目指す「豊かな地下水を育むネットワーク」が設立された(熊本日日新聞2004.3.1)。また、さらに上流域にある同県西原村では、地下水涵養などを目的に村有地の一部約8ヘクタールを無償貸与し、借り受けた企業の社員やボランティアらで植樹する事業(熊本日日新聞2003.12.20)など、地下水保全を軸に多様な主体の連携による取組が報じられた。
木材価格の低迷で森林整備の遅れや雇用問題が地域課題となる中、自治体でも独自の森林整備促進事業が取り組まれている。
岩手県新里村では、「森もり創出事業」と銘打ち、伐期を迎えた森林の除間伐を村が独自に行うことで、村内林業者の雇用の場を確保するとともに、村民の高度な林業技術を積極的に活用し、森林保全を目指す。村内に在住する林業経験者延べ600人の雇用を見込んでいる(岩手日報2003.7.30)。
高知県伊野町では、民有林間伐で独自の補助制度(「仁淀川山の手入れで元気モリモリ事業」)を設けた。制約が多く使い勝手の悪い国・県の補助事業を教訓に、同事業では、森林の機能や齢級を問わず民有林全てを補助対象とし、山主負担をゼロにするといった全国屈指の手厚い内容で好評を得た。例年の1.5倍以上のペースで申請が相次ぎ、従来手つかずのままだった地域で間伐が進む効果をみた。財源は仁淀川高知取水に伴い高知市から毎年交付される水質環境等保全対策費(高知新聞2003.12.30)。
また、間伐材の利用面でも注目されるものに木質バイオマス発電がある。兵庫県一宮町では、間伐した際の木くず等を燃料としたバイオマス発電実証実験が成功し、連続操業の目処をつけた。実験成功は大きな節目となるが、導入や発電のコスト高や燃料確保のためにさらなる地域材利用を進める必要がある等課題もあり、今後の展開が期待される(神戸新聞2003.10.18)。
また、森林整備に関するユニークな取組として、森林整備活動によって増加が見込まれるCO2吸収量に応じて地域通貨(「緑のボランティア活動支援券」)を出す大分県の「緑のボランティア活動支援事業」が挙げられる。県森林組合連合会が商品券として発行する支援券を、県が買い上げ、収受印を押して通貨と認める。これで県内の森林組合で用具や備品類を購入できる。11月には、久住町で植樹し、森づくりなどの環境保全活動に取り組む「NPO法人緑の工房ななぐらす」が七万三千円分の初交付を受けた(大分合同新聞2003.11.12)。
BSE、鳥インフルエンザ、KHV等の発生や偽装表示事件で、消費者の安全・安心への要求が強まる中、自治体でも様々な取組が報じられた。
北海道や滋賀県、茨城県、岩手県などでは遺伝子組み換え栽培規制のガイドラインや条例を検討する動きが報じられた(毎日新聞2003.12.9)。
また、遺伝子組み換え作物の栽培規制を全国で初めて策定した山形県藤島町では、宮崎県綾町に続き全国市町村で2番目にJAS(日本農林規格)法に基づく有機農産物認定機関となった。同町では、国の基準に沿った認証に加え町独自の認証基準も設け、他との差別化を図っている。また、申請手数料についても同町では通常の半額程度に抑え、取組み農家の負担軽減、取組拡大による安全で安心な藤島ブランドの確立をめざしている。
生産以降の段階でも安全性確立の取組がある。市民ぐるみで地産地消を図る愛媛県今治市では、地産地消推進会議を設立(愛媛新聞2003.7.15)。JASや県の認証を受けるなど一定の基準を満たす地場産品を取り扱う小売店や飲食店、加工業者を「地産地消推進協力店」として認証する制度を始めた。協力店にはPR用ステッカーが交付され、市のホームページなどでも紹介される。消費者は、「いまばり地産地消応援団」として登録すると、メールやfaxで協力店や旬の食材などの情報提供を受けられるとした。安全・安心への感心の高まりを受け、町は残留農薬等のチェックができる装置を導入、農協に生産履歴の記録徹底を求めるなど、地域ぐるみの取組を展開している。
この項目は廃棄物の減量やリサイクルなどの内容を扱う。
2003年8月、三重県多渡町のごみ固形燃料(RDF)発電所の燃料貯蔵サイロで発生した火災は3名の死傷者を出す大事故となり、関係者をはじめRDF導入自治体に大きな衝撃を与えた。事故の原因は、性状が一定とはいえない家庭系一般廃棄物をペレット状に固めた固形燃料の貯蔵・管理手法にあると見られ、性質上、未解明な部分が多いRDF技術の難しさを改めて周囲に印象付けた。
環境省は12月、RDFの製造・利用に関するガイドラインを取りまとめたが、その過程で、全国55ヶ所あるRDF製造施設のうち26施設において、過去に32件の事故・異常があったことが明らかとされた。さらに全国RDF発電施設においても、7施設中、三重県多度町の施設を除く3施設でトラブルのあった旨が報告された。
三重県内では69市町村中26市町村が一般ごみをRDF化しており、県内7カ所の施設で製造されたRDFはすべて、同発電所に運び込まれていた。施設の運転休止により、ストックされたRDFが行き場を失うなど関係機関に与えたダメージは大きく、また焼却施設での処理を依頼する際にも、混合ごみであるRDFの組成が障害となるなど、「夢のリサイクル」として脚光を浴びたRDFの弱点が改めて浮き彫りにされた。
続く11月にはイオン大和ショッピングセンター(神奈川県大和市)にて生ごみ電動堆肥化施設が爆発したが、上記の事例とあわせて、新技術の安全管理体制上の不備が問われる一年となった。
一般廃棄物の削減に向けた取り組みの中では、国による広域化推進と補助金誘導政策に対し、真っ向から「NO」を突きつけた徳島県上勝町のごみゼロ行動宣言、「ゼロ・ウェイスト宣言」が、ひときわ光彩を放った。上勝町では2003年9月、町から出される焼却・埋立処分ごみの排出量を、2020年までにゼロに抑えると宣言。分別、回収、教育の徹底で地域のごみ減量に取り組むほか、国・県・企業に対する拡大生産者責任の具体化に向けた行動や他の市町村との連帯行動と情報交換なども盛り込んだ同宣言は、大きなインパクトを与えた。
ゼロ・ウェイストが環境省などの「ごみゼロ」と大きく異なるのは、@焼却・埋立からの脱却を明確に掲げている点、A処理・処分が困難なごみを自治体が多大な費用で抱えるのをやめ、市場システムにおける解決をめざして働きかける点にある。この考え方は、1996年、オーストラリアの首都キャンベラでの「2010年までにごみをゼロにし、埋立をやめる」との宣言に端を発し、現在、ニュージーランドの50%以上の自治体、カナダのトロントやノバスコシア州、アメリカのサンフランシスコなどで同様の宣言が採択されている。
自治体の一廃削減に向けたユニークな取り組みとして、今年も、商店街とタイアップしたレジ袋削減キャンペーンが数多く展開された。
2002年5月に「脱レジ袋宣言」をした愛知県名古屋市では、2003年10月からレジ袋を断った市民にシールを1枚ずつ交付、40枚で100円の買い物券に使える市内共通の還元制度「エコくーぴょん」をスタートした。運営は市民、事業者、行政などから構成される「容器・包装3R推進協議会」が中心となり、1300店を目標に協力店を募る(2004.2.10現在541店舗が参加)。佐賀県佐賀市では2003年7月から、スーパーなどの買い物袋持参運動とタイアップし、レジ袋を断った客に対し抽選で旅行券などを贈る制度をスタート。2ヶ月に1回抽選会を開き、年間388トンにのぼるレジ袋ごみを一挙に6トンまで削減しようと試みる。
ホームページの広報キャラクター「ワケルくん」が大ヒットした宮城県仙台市では、10月に包装削減キャンペーンを実施。市内デパート・スーパー106店舗にて、レジ袋を断った客に商品券やオリジナル携帯ストラップの当たる応募券を配布した。地域活性化と環境保全の相乗効果が期待される取り組みの効果は上々で、期間中に発行された応募券は44万2,000枚、辞退されたレジ袋枚数を原油換算すると約7300リットルになったという(仙台市HP:「平成15年度包装削減キャンペーンの詳細について」より)。
この項目は有害化学物質の削減についての内容を扱う。
◆農薬の適正管理――栽培履歴を自治体が公開
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食の安全を求める声がかつてないほどに高まる中、農産物の安心・安全を保障するシステムを確立し消費者の信頼を得ようと、新たな試みが始まった。
2002年12月に「りんごまるかじり条例(りんごの生産における安全性の確保と生産者情報の管理によるりんごの普及促進を図る条例)」を制定した青森県板柳町では2003年秋、町内農家がつくるりんごの農薬・肥料などの栽培情報をホームページ上で公開する「りんごまるかじり条例実証モデル事業」を実施。商品の栽培過程を明らかにすることで、食の信頼性向上に向けた全国初の取り組みとして注目を浴びた。おなじく山形県藤島町でも、トレーサビリティ(商品の履歴情報追跡)システムの構築にむけた検査認証の体制づくりがすすめられるなど、食の安全・安心の確保に向けた動きは活発化の傾向にある。トレーサビリティが生産・流通団体による取り組みとして先行する中、消費者の要望に加え、環境保全型農業へのモチベーションを高めるしくみづくりへ、自治体が着手したことへの評価は高い。
2003年度も、新築・改築に伴うシックスクールの報告が相次いだ。西東京市、墨田区、調布市、塩尻市の小学校で起きたシックスクール被害は、いずれも予防策が万全であったとは言い難く、自治体の化学物質対策に関する意識の低さが浮き彫りとなった。江東区では2003年4月の新校舎移転後に発生した元加賀小学校シックスクール問題に対処するため、区、区教委、PTA、保健所、学識等からなる対策連絡協議会を設置したが、公開された協議の過程からは、シックスクールを未然に防ぐための責任・権限のあいまいさが見て取れる。
NPO法人「シックハウスを考える会」の所在地である大阪府四條畷市では、今後すべての市発注工事において、国の規制を上回る独自の基準で選んだ安全な建材だけを使い、施工するとの画期的な指針が取り決められた(2003.12.18読売新聞)。厚労省の定める13物質すべてに対し、温度35度、湿度50度といった高温多湿の環境下で化学物質の揮発データを測定し、使用に耐えうる資材のみを用いるとした。調査・対策に多大なコストを要する事後対処と比較しても、予防対策の実施は低コストかつ確実性も保証される。今後こうした取り組みが全国へ波及することを期待したい。
東京都調布市でも2003年12月より、市民がシックハウス対策を目的に自宅を改修する場合、最高20万円を補助する制度の受付を開始した。施工業者は市内事業者に限るなど、地元景気対策の一環としても位置付けられているのが特徴だ。
産業廃棄物の不法投棄に対する監視が厳しさを増す中、有害物質の投棄・保管に対する自治体の規制も強まる傾向にある。軽油を密造する際に排出されるタール状の強酸性物質、硫酸ピッチの不法投棄が各地で相次ぎ、京都府・石川県ではその生成・保管を禁止する条例が可決した。7月にドラム缶271本の不法投棄が発見され、約1800万円の費用をかけて行政代執行を行った福岡市など被害自治体の声に押され、環境省も本格的な規制に乗り出す方針を固めた。そのほかにも、ダイオキシン特措法の対象外とされるRDF使用事業施設への独自排出基準設定を検討する福島県、PCB入りコンデンサー(蓄電器)への番号入りステッカー貼り付けによりその適正管理をめざす愛知県など、独自の規制取締り策が展開されつつある。
この項目は、環境に関する条例制定、各種計画等の策定、環境マネジメントの取り組みなどを対象とする。さらに、環境に限定せず、政策形成・計画手法の多様化も扱う。
地方自治体が、公選首長、首長を頂点とする職員機構、及び議会で構成されていることに鑑みると、様々な政策過程において、首長と職員機構のいわゆる「行政」が中心主体で、議会が単なる追認機関になっている現状と、しかも、住民が様々な形で参加するのも行政のみが対象であるという状態は不自然ともいえよう。また、環境行政の一般的な指針となってきつつある環境基本計画は、住民が最低4年間の代表を任せた首長の公約や施政方針、ひいては自治体の総合計画とどのような関係にあるのか不明であることが多い。また、総合計画や環境計画に、もう一方の代表である議会がどのように関与するかについても共通認識がない。
議会の位置づけについてさらに具体的に述べると、市町村における地方自治法に基づく基本構想以外の総合計画(基本計画・実施計画)や環境計画を議決事項とするかどうか、ISO14001の認証範囲に議会を含めるかどうか、議会への住民参加としてどのような方法があるか、など多様な論点がありうる。
こうした問題意識をもって対象期間の新聞報道等を確認すると、環境政策に限らず、計画類への議会関与を明確化する動きが若干みられるようになってきた。例えば岩手県では、県総合計画、環境基本計画など計15の計画類を議会の議決事項にする「県行政に関する基本的な計画の議決に関する条例」案が会派共同で提出され、可決された。類似の条例は、三重県、宮城県にもあり全国3番目となるが、計画の立案過程における議会への報告を初めて義務付けたものとなっている。また、総合計画の実施状況が毎年度、議会に報告されるとともに公表され、議会は社会経済情勢の変化などで計画の変更、廃止が必要と認めたときは知事に意見を述べることができる(03.9.26岩手日報)。
香川県でも、これら3県とその後に制定された長崎県の内容よりも踏み込んだ内容の条例が検討されている。最大会派である自民党議員会の検討委がまとめた条例案骨子によると、@県政全般にわたる重要な計画は毎年度、実施状況の報告を義務付けるとともに、実施状況が計画とかけ離れているケースでは、適合させるための措置を勧告できる、A社会情勢の変化に応じて必要とみられる計画は、その策定を知事らに提言できる―などとしている点が従来の条例より踏み込んでいるとされる。また、これまでは計画を策定する審議会に、県議会を代表して委員を出していたが、条例の施行に合わせて取りやめることも盛り込んでいる(03.12.12四国新聞)。
一方、長と職員機構が原案をつくるものの中で、もっとも住民参加の少なかった予算案についても、新たな形で参加が試みられる例が出てきた。埼玉県志木市では、編成段階の予算書を公開するための市民予算説明会を開催した。また、同市は、04年度予算から、市民公募の市民委員会も編成に加わることを決め、市各部ごとの予算編成ほか、市民委員会も独自の予算を作成することで、市側と市民委員会から二つの予算要求が示されることになり、市長が比較検討し、最終的な事業選択の判断材料とするしくみになっている。市民委員会は説明会までに、各部の来年度予算要求に手を加えるかたちで予算書を作成したが、03年度の事業内容をチェックして評価を行い、各部の要求とは違った金額が、市民委員会の案として盛り込まれているという(03.12.12埼玉新聞)。
全国の都道府県などに広まりつつある産業廃棄物税に続いて、水源環境などに関連する税の検討も相次いでいる。こうした税の発想は、92年に和歌山県本宮町の中山喜弘元町長が提唱した「森林交付税」構想に端を発するが、その運動を継続させている「森林交付税創設促進連盟」(会長・岩田一郎島根県仁多町長、923市町村加入)も方針を転換し、水や二酸化炭素排出源に課税する「全国森林環境・水源税」の創始を求めて、本格的な運動を始めた。名称も新たに「全国森林環境・水源税創設促進連盟」に変更した(03.9.4紀伊民報)。
都道府県の動向としては、県と業界との論争が白熱している山梨県のいわゆる「ミネラルウォーター税」構想や横浜市長と県知事との意見相違も報じられている神奈川県の水源環境税構想のほか、山形県、香川県でも水環境税の議論が進んでいる(03.11.17山形新聞、03.11.20四国新聞)。
ミネラルウォーター税は、山梨県議会の提案を受け、庁内組織「地方税制研究会」が2002年12月に中間報告で詳細に検討されたものである。中間報告によれば、ミネラルウォーターとして販売することを目的に地下水を採取する行為に対して課税される。税率は1リットルあたり0.5〜1円が想定されているが、軽減措置も予定されている。中間報告の公表後1か月間の意見募集では、業界関係者からの意見が多く提出されたが、その後県政モニター約400名のアンケート調査結果によれば、約6割の人が条件付も含め税導入に賛成している(03.9.11山梨日日新聞)。
神奈川県の水源環境税については、県知事の公約集「マニフェスト」でも提案されたものだが、横浜市などの水道事業者の反対が強い。県地方税制等研究会生活環境税制専門部会が2003年7月に出した最終報告書では、まず水道料金に上乗せする形での課税が適当とし、水道事業者の理解が得られない場合、県民税上乗せが必要と結論付けられた(03.11.11など神奈川新聞)。
都道府県を中心に、政策アセスメントや外部評価、指標を用いた目標管理が環境政策に限らず全政策に適用され始めている。特に、目標管理については、2003年7月の群馬県知事選において、当選した小寺知事が「小寺ビジョン」として「群馬の10年後の目標」を掲げたのに関連し、県民所得を1.33倍にといった目標が大きく報じられた(03.6.12上毛新聞)。また、兵庫県では、「頼りになる知り合いが近所にいる人の割合」などといった身近な指標が「美しい兵庫指標」として長期ビジョンに位置づけられた。また、熊本県では、2003年3月に策定された「くまもと21ヘルスプラン」において、健康に関する113の数値を掲げ、中間評価・最終評価などの目標管理をしていくとしている(03.7.2熊本日日新聞など)。
自己適合宣言については、長野県飯田市(2003年1月に移行)を嚆矢として、熊本県水俣市(2003年9月)、福井県武生市(予定)など今後多くの自治体に広がり続けそうな勢いである(04.2.26福井新聞)。
また、地域独自の環境マネジメントシステム(EMS)として完成されたものについては、京都市の「KES」が著名であるが、他にも、福井県武生市の「ESたけふ」、飯田市を中心とした「南信州いいむす21」などが実践されている。
03年7月に国が「環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律」を策定し、10月より一部施行され、04年10月に完全施行される。この法律では、一人一人が環境についての理解を深め、環境保全活動に取り組む意欲を高めるための様々な支援を行い、環境教育を進めるために必要な事柄を定められている。そういった国の定めた法律の下、今後どのように一人一人が、あるいは自治体や事業所、学校、NPOなどが行動していけばいいかを探るため、ここでは学校や施設等における環境に関する学習やイベントなどの内容をまとめる。
環境問題の深刻化や複雑・多様化等の社会的背景のもと、環境学習の必要性が高まっている。全国各地でその実践活動が行われてきているが、その実践の積み重ねをしていくとともに、今日の環境問題をめぐる様々な社会的背景に応じた、環境学習の理念を改めて問い直し、その方向性を明確に示していくことが求められている。環境学習は、地球温暖化、植物や水などの自然環境、そして廃棄物などテーマが多岐にわたっており、小中学校の総合的な学習の時間や市民講座など子どもから大人まで広い世代を対象に、かつ各人のレベルにあった環境教育が行われることが求められる。
環境教育は、子どもたちに家庭内での体験や身近な自然での体験を軸にしながら、問題解決のための課題や解決方法を見出す能力を育て、環境の改善や保全・創造に主体的に働きかける態度や参加のための行動力を身につけさせることにある。
そこで静岡市では環境保全の国際規格ISO14000を基に、小学生が各家庭の「エコリーダー」として省エネ、リサイクルの管理システムづくりに努める「キッズISOプログラム」を導入し、新年度当初予算案に事業費百三十五万円を計上した。
小学四年から