この資料は、一ないし数個の都道府県単位で発行される地方日刊紙から、2002年5月〜2003年3月までの期間で、環境自治体会議の共通目標の分野ごとに関連した記事を抽出し、その傾向を分析したものである。新聞記事であるので、情報が客観的な重要度によって選択されているとは限らず、各社でニュース性があると評価した情報が収録されるという偏りはあるが、いま環境に関してどのような情報が社会的に注目されているかを知ることによって、環境政策の企画・実施の一助となることを目的として編集したものである。
この項目は、省エネ・環境にやさしいエネルギー(新エネ、代替エネ)・地球温暖化防止に関する内容を扱う。
2002年3〜4月前後にかけて、例年にない気温上昇により各地で桜の開花が早まり、かえって桜に関連する行事が実施不可能となるなどの影響も報じられた。この事実のみで直ちに地球温暖化の結果であると断定することはできないが、これと関連づけた記事、コメントが多く見られ、厳密な科学的根拠は別の機会に論じるとしても、地球温暖化に関する社会的な関心を惹起するきっかけにはなったと考えることもできる。
今年度、社会的に最も多く出現したテーマは、一連のトラブル隠しに起因する原子力発電所の停止である。2003年3月現在、電力の供給に支障は生じていないが、東京電力は、停止中の原子力発電所を再稼動しなければ、2003年夏の電力ピーク時に950万kWの電力が不足すると発表した。(2003年3月25日) 共通目標との関連で考えるなら、原発の是非にかかわらず非化石エネルギーの促進と省エネルギーが重要である。
この観点では、記事に出現したテーマでは風力が最も多く、各地での風力発電設備の運転開始が伝えられている。次いで太陽光、燃料電池の記事が取り上げられている。

また、省エネこそ身近ですぐにできる「エネルギー源」であるにもかかわらず、省エネの記事は少なく、節電・冷暖房の使い方、住宅の構造、コジェネ等の記事が少ない。ただし静岡県沼津市、島根県松江市などで省エネルギービジョン策定の活動が伝えられている。
この項目は、大気汚染および環境負荷の少ない交通手段に関する内容を扱う。なお記事の件数でみると、産業に起因する大気汚染の記事はほとんどみられなかった。
地域交通圏におけるバス路線の廃止が昨年に続いて多く伝えられ、環境負荷の少ない交通体系とは逆方向を示している。一方で自治体の補助あるいは直営によって、公共交通を維持する事例が多く報道されているが、環境負荷の低減というよりも、住民のモビリティをどのように維持するかが深刻な問題となっている。モビリティと環境負荷の低減は別のものではなく、双方のシナジー効果を期待することが、少ない行政資源を有効に使うという考え方もあると思われる。
大気汚染の分野では、2002年10月の東京大気汚染裁判が大きなトピックであった。神戸・名古屋と同様に、道路管理者の責任、汚染物質放出の差し止めに加えて、自動車メーカーの責任が論点となっていたが、裁判所の決定は、神戸・名古屋に比べて後退(原告側からみて)と評価される内容となった。しかしながら、これによって大都市圏の交通公害対策を促進する大きなきっかけとなったことは事実であり、ディーゼル車規制など新たな動きが見られる。
都市間輸送の分野では、整備新幹線の建設に伴う並行在来線問題が多く取り上げられている。東北新幹線の八戸開業に伴い、東北本線在来線の盛岡〜八戸間がJRから分離され、岩手県側と青森県側2つの第三セクター鉄道に分割された。このため、たとえば盛岡駅をまたがって2駅間を利用すると、それまで190円の運賃が一挙に340円となるなど、公共交通の利用促進に全く逆行する事態が生じている。
また九州新幹線の開業が予定されている川内〜八代間の「肥薩おれんじ鉄道」が2002年10月に設立され、さらに北陸新幹線に関して、今後長野・新潟・富山・福井県内でさらに広範囲で同様の問題が起きることが懸念されている。

新聞記事からではないが、自治体にアンケートを取ったところ、交通について住民と意見交換の仕組みを作っている例は少なく、あってもテーマは交通事故防止などである。住民の潜在交通ニーズがまだ把握されていない。一連の状況から、従来の「インフラ整備計画」ではなく、住民のニーズにもとづいた地域交通のビジョンと、具体的な指標を策定する「地域交通ビジョン」の策定が必要な時期になってきたと考えられる。
この項目は、清らかな水辺環境と生活排水処理を扱い、主に浄化槽や水質向上等に関しての記事が当てはまる。
この分野においては、下水道普及率あるいは汚水処理施設整備率に関する見出しが多かった。農林水産省・国土交通省・環境省の平成13年度末の汚水処理施設整備状況によると、平成13年度末の全国の汚水処理施設による整備率は73.7%と、平成12年度末から2.3%増加した。ビーチに二枚貝が戻った玉城村やカワセミ大幅増加の佐久市など下水道設置事業が功を奏した例も報道されている。
しかし、特に人口5万人未満の市町村の整備率は49.4%、また漁村での下水道等普及率は前年度比4ポイント増となっているものの32%(水産庁調査)と、整備は進められているが依然として大都市と中小市町村では大きな格差がある。
また、国交省下水道部などが「生態系にやさしい下水道の促進に向けた手引書(案)」をまとめ、発刊したが、環境新聞によるアンケート調査でも、下水処理場で生態系との共生が浸透してきているとの結果が出ている。また、家庭から出た生ごみと汚泥を利用した堆肥化(信楽町)やバイオ技術を利用した汚泥の肥料や脱臭剤としての再利用(東部町)、下水汚泥処理で発生するガスを利用した、電気と熱を生む燃料電池の熱電供給設備(山形市)、下水ガスの小規模発電プラント開発(福岡市)など、単に水処理あるいは整備率に止まらない、生態系との共生や汚泥の堆肥化・エネルギー利用など広がりをみせている。
水道・下水道事業における維持コスト削減は多くの自治体が抱える課題であるが、水道事業については、改正水道法が4月から施行され、外部委託しやすくなったことから、公営水道の管理や運営を民間に委託する自治体が増えてきた。群馬県太田市や広島県芸北町等で浄水場管理運営を民間委託しているほか、埼玉県では県営水道の長期ビジョンで一部業務の民間委託の他、設備更新にPFIを導入する方針を打ち出し、長野県では民間企業が水道事業の包括委託を申し入れているという(2002.5.29日経)。
また、下水道でも、九州では初となる、大分市の終末処理場運転管理業務のほぼ全面的な民間委託の例が報じられた。汚泥排出など一部の業務については行政責任が定められているため従来どおり市職員を配置しているものの、放流水の水質基準をクリアできれば業者が自由裁量で運転管理業務を行う。最小の職員で処理可能となり人件費が削減できるほか、業者の管理ノウハウ活用で、薬品費や光熱費など直接経費も削減を図る等、より効率的な運営を目指している(2002.7.20 大分新聞)。

この項目は、流域や地域内の循環としての農林業・森林・水環境・緑、そしてそれらの公益的機能の維持等を扱う。
財団法人日本ダム協会の「ダム便覧2003」によると、2002年3月31日までに完成したものは全国で2743。2002年4月以降完成予定のものが326となっている。
しかし、経済成長の鈍化や工場の海外移転を背景に上水道、工業、農業用水の需要予測と低下する水需要の実態との較差が浮き彫りになり、国・県の危機的な財政状況からも建設費に見合う水需要がない等の理由から、計画・建設中のダムでも中止、規模の縮小を探る動きが目立つ。
02年度に入って国交省の地方整備局段階で紀伊丹生川(和歌山)、清津川(新潟)等が中止されたが、朝日新聞社の調査によると、国土交通省や農水省が中止を決めたのは96年度以降全国で92カ所にのぼる。大半が工事に入る前の調査段階。14ダムで周辺工事に着手していたが、本体工事に着工していたダムはなかった。中止理由としては、「水需要が当初の見込みを下回った」とするダムが68にのぼった。
さらに、既に建設されたダムが解体撤去される例も出てきた。02年12月、熊本県は坂本村にある発電用の県営の荒瀬ダムを完全撤去することを決めた。老朽化や水質悪化への住民の苦情などを理由とし、2003年3月に切れる同ダムの水利権の更新を十年間短縮して、国土交通省に申請。今後、ダム湖周辺と下流に道路や護岸をつくり、水利権が切れる13年をめどに解体、撤去する。ダムを抱える坂本村では水利権更新に対する村議会の反対意見書を可決していたほか、球磨川流域で最大の人口を抱える八代市で「ダム反対」を掲げた中島隆利市長が誕生していた。既存ダムの完全撤去は全国でもはじめてとなる。
一方、荒瀬ダムの上流の国土交通省が進める川辺川ダム事業は、球磨川の漁業権収用問題が決着しなかったため、2002年もダム本体着工に至らなかった。その間、ダムの妥当性を議論する住民討論集会は回を重ねたが、同省と反対派の論戦は平行線をたどった。
四万十川流域では、高知県側の8市町村が河川保護条例を制定していたが、愛媛県内でも支流域の4町村が同様の条例を制定。県境を越えて四万十川水系をほぼカバーできるが、河川環境保護で2県協力の条例制定は全国でも珍しい。
福岡県篠栗町では、山林保全のために町独自で蓄えている「緑のトラスト基金」を町外にも適用し、同町が取水している筑後川源流域の大分県上津江村の水源域山林を購入した。03年3月にはボランティアを募って、現地で植樹イベントを実施。水を供給する上流域と取水する下流域の自治体が一緒になって水源を守る、新しい取り組みとして注目される。
岩手県陸前高田市と宮城県唐桑町でも県境を超えた水源保全林の保全協定を締結するなど、県境超えた流域連携の例が報じられた。
林野庁によると温暖化防止や保水・大気浄化など多様な機能を持つ森林の保全を目的とした税制は26の道県で検討中だが、高知県で全国初となる森林環境税が成立した。個人・法人の県民税に500円ずつ上乗せし、「森林環境保全基金」に積み立て、手入れされず災害の危険がある民有林の間伐や、山林所有者らに森林保全の重要性を訴えるPR活動など使途は森林保全のための事業に限定する。
町村レベルでも数は多くないものの、福岡県添田町や篠栗町、佐賀県三瀬村でも利水事業体や下流自治体を対象とした森林水源税を検討していることが報じられた。
林業をめぐっては、木を切り出してもほとんど利益が出ないことから、手入れがされず荒廃する山林が全国的に増えている。こうした中で、岩手県では木造建築物紹介ガイド発行、秋田県では100戸分の新築住宅用杉柱材の無料提供など、各地で地元産木材の利用促進が図られている。
中でも「県産材の認証」など県内で生産された素材を使って県内の工場で製材された製材品に認証していこうという動きが各地で広まりつつあることが注目される。
群馬県では、建材にぐんま優良木材品質認証センター認証材6割以上で奨励金。県産材の安定した流通ルート確立を目指している。鳥取県では、全国初となる伐採地まで分かる「産地証明制度」創設。併せて県産材を半分以上使えば60万円補助の「木の住まい助成事業」も創設した。受付初日に応募枠を超える申込みがあるなど、人気を集めている。また、同様の認証は各地で行政機関や製材業界実施が一般的だが、東三河地方ではNPOが主体となり制度実施の検討が行われている。
また、国際的に展開している代表的な森林認証制度にFSC森林認証があるが、FSC森林認証公開模擬審査会が行われた宮崎県諸塚村が取得に向け、高知県もFSC認証の県産材利用に助成するなど需要拡大策を打ち出した。FSC認証は、公有林では平成15年3月に山梨県有林が取得しており、同年6月に尾鷲市有林が取得している。なお、尾鷲市のFSC認証は公有林では2例目、市町村の単独取得は全国で初めてとなる。

この項目は廃棄物の減量やリサイクルなどの内容を扱う。
2002年3月15日に可決された東京都杉並区のレジ袋税条例(すぎなみ環境目的税)は、自治体自主課税の新たなモデルとして、また地域合意形成の試行実験として多くの自治体の注目を集めた。区は、実際の徴収の時期はレジ袋削減の効果を見ながら検討するとした上で、ポスターや広報誌等による大々的な啓発活動を展開、レジ袋税賛成派・反対派を問わず多くの区民に認知されることとなった。こうした取り組みの成果が雑誌や新聞社にも多数取り上げられ、同様の動きが全国的に波及した。
毎月0のつく日をノーレジ袋デーと決めた山形県鶴岡市や埼玉県狭山市(毎月2日)をはじめ、大手スーパー4社と共同でレジ袋の有料化と収益の環境保護活動費充当を取り決めた栃木県南河内町・国分寺町、2005年までにレジ袋の3割削減を目指す名古屋市の「脱レジ袋宣言」など、事業者や市民と連携した取り組みが増えている。削減効果を積算し、ホームページ等で公表しているのも特徴の一つだ。
資源化・リサイクルのフレームがここ数年でほぼ固まり、ごみ減量に向けた課題も残すところは生ごみの減量・資源化となりつつある。環境自治体会議の会員自治体でも、2002年度から新たに埼玉県川越市、長野県飯田市が一部地域で生ごみの分別回収をスタートさせたほか、愛媛県内子町では次年度からの全戸を対象とした生ごみ・畜産廃棄物の地域内循環システム開始に向け、行政、農協、住民間での協議が進められた。ごみの分別・資源化で全国トップクラスの熊本県水俣市では、12月より新たに開始された生ごみ分別により、資源化率は42.85%と大幅にアップした
会員外では埼玉県狭山市が4月より30ヶ所のステーションにて生ごみの回収を開始、滋賀県水口町でも10月よりモデル地区アンケートをもとに、全町展開に向けた地域説明会が開始された。いずれも協議会等の設置による住民との連携を軸としているのが特徴だ。他にも、12月より生ごみ回収を停止し家庭での堆肥化を呼びかけている山梨県上九一色村など生ごみ削減に向けた取り組みが増えつつある。

産廃に対する市町村レベルの取り組みも、昨年に引き続き強化されている。不法投棄の監視強化に加え、事業者との事前協議を義務付ける条例・要綱の制定や、さいたま市の残土条例(12月議会にて制定)による規制面積の引き下げ(県条例により3000u以上のたい積面積を許可制としているところを、市条例では500uまで引き下げ)があげられる。また岐阜県では7月、希望する32市町村の職員へ産廃施設への立入検査権を与えるために県職員事例を交付。同月、同県関市で問題となった廃タイヤの大量放置では、実際に市職員が検査を行うなど、地域環境を自ら守ろうとする機運が高まりをみせている。
この項目は有害化学物質の削減についての内容を扱う。
2002年12月のダイオキシン排出基準の規制強化に伴い、新基準への適合が不可とされる焼却炉が次々に廃炉となった。全国2609の産廃炉のうち、新基準適合稼動炉は1524施設と全体の6割へ減少(2003.1.24環境省)。ダイオキシン排出量自体は、近年ペースを落としつつも着実に減少傾向にある。
2002年6月、大阪府堺市の市立保育所に勤めていたアルバイト保育士4人に対し、シックハウス症候群で日本初の労災が認定された。また長野県塩尻市、東京都調布市、滋賀県水口町等において、校舎・園舎の新築に伴うシックスクールが相次いで報道、教育現場における化学物質の乱用が社会問題化した。
そうした動向を踏まえ建築基準法が7月に改正(2003年7月施行予定)、クロルピリホス(シロアリ駆除剤)と、ホルムアルデヒド(合板剤等に使用)がシックハウス症候群の原因物質として初めて法規制の対象となった。同法施行に先駆け静岡県浜松市では2003年2月、「公共施設におけるシックハウス症候群予防対策ガイドライン」を策定。庁内での概要説明会には市の施設を管理する54課の職員が参加、化学物質の測定方法を学んだほか、学校でのワックスがけへの注意喚起など、教育現場におけるシックハウス予防策がレクチャーされた。
市街地の害虫対策として無批判に化学物質を大量使用してきた現状を見直す動きは、県レベルで多少見られるも、全体としては後退気味だ。埼玉県は2002年4月より「埼玉県における県有施設・樹木の消毒等に関する取り組み方針」に基づき、県有施設・樹木については定期的な農薬散布をとりやめ、やむを得ず散布する場合には内分泌攪乱物質が疑われる物質を含む薬剤は使用しないとの方針を明らかにした。石川県においても「ダイオキシン・環境ホルモン問題に係る取組方針(2002年3月改定)」により、県有施設等においては農薬散布に頼らない病害虫・除草対策を推進する旨が策定された。
しかし現場は依然、農薬に代わる妙案は見出せない状況にある。2001年に農薬散布による市域の害虫駆除を取りやめた金沢市では、2002年度の市議会で早くも捕殺防除方式の効果に対する疑問が浮上した。マツクイムシによる防風林の被害もここ数年拡大傾向にあり、町民の自主的な農薬散布を推奨する「松くい虫から町をまもる条例」が秋田県象潟町で可決されるなど、農薬使用規制への道はほど遠い。
ただし、農地における農薬使用管理の動きは有機農業の推進とあいまって、少しずつではあるが前進している。横浜市では2002年11月、市街地に隣接・混在する農地へ農薬散布する際の配慮事項をまとめた「農薬散布に関する指針」を策定、農業者への注意喚起と同時に、住民への情報提供を促している。

この項目は、環境に関する条例制定、各種計画等の策定、環境マネジメントの取り組みなどを対象とする。さらに、環境に限定せず、政策形成・計画手法の多様化も扱う。
ここ1年間の条例制定・改正の動向をみると、条例の対象がいわゆる生活環境に集中していることが目立っている。著名な例として年10月1日から施行された東京都千代田区の生活環境条例(いわゆるポイ捨て禁止条例)が挙げられるが、ポイ捨て禁止への罰則(過料。他にも例えば徳島県鳴門市の環境美化条例 11.27徳島新聞)はもとより、落書きの禁止(岡山県の快適環境条例 10.2など山陽新聞)、飲食店の「におい」(横浜市の生活環境保全条例 7.30神奈川新聞。秋田市の公害防止条例改正 1.24秋田魁新報)や「犬猫10匹以上の飼育の届出制」(鳥取県の動物愛護条例改正案 12.6日本海新聞)「犬のフン」の放置禁止(徳島県阿波町のポイ捨て条例改正案 9.11徳島新聞)「水上バイク規制」(滋賀県のレジャー利用適正化条例 6.27など京都新聞)など、本来は住民・事業者のマナー・モラルの遵守、あるいは自主的な努力で解決されるべき問題といえよう。そうした問題について行政が条例化しなければならなくなったところに、日本社会の貧しさが顕在化されているといったら、大げさであろうか。
環境計画の分野では、5年ほど前から、環境基本計画の策定ラッシュが始まり、定量目標の設定や進行管理システムの確立、年次報告書の発行など目標管理の重要性が一般的に認識されるようになってきた。これにISO14001認証取得ブームがさらに拍車をかけた。一方で、自治体全体の総合計画の進行管理・評価の問題は十数年の試行を経てもなお、システムが確立されたと認められる自治体は一部の都道府県にとどまるなど、進展がほとんどみられなかったといえよう。
ところが、ここ1年間の新聞報道からは、いよいよ自治体政策全体について、進行管理や評価システムの確立が相次いでいることが伺える。例えば、熊本県では政策評価について客観性を確保するために、費用対効果などを点数化し(5.16熊本日日新聞)、また、北海道の第3次長期計画後期計画では2年おきの政策評価を実施するとしている(11.25北海道新聞)。徳島県では予算に計上する全事業について政策評価を導入する方針である(10.29徳島新聞)。総合計画ではないが、金沢市の行政評価は9つの計画・プランについて数値目標の達成度を検証するとしている(8.6北國新聞)。また、岩手県のように政策評価システムを条例化する方針を掲げたところもあるし(10.22岩手日報)、福島県いわき市のように第三者機関が行政評価を実施するという自治体も出てきている(12.4福島民報)。

環境に限定されないが、ISOの認証取得などを入札の参加条件とする、いわゆる「政策入札」の事例もみられるようになってきた。松本市はISO9000認証取得を入札参加の条件とする試行を実施し(6.4信濃毎日新聞)、また十和田地方合同庁舎の入札時には入札価格のほかに二酸化炭素排出量や燃費効率も数値化して落札業者を決める「総合評価落札方式」がとられた(8.28河北新報など)。
当初は実現が困難と思われていた核燃料税をはじめ、環境税のバリエーションが増加した1年であったといえよう。他に鳥取県・高知県の涵養税(県民税への上乗せ方式)、神奈川県の水源環境税、滋賀県の湖面利用税があるが、一方、産廃税を広域で導入するなど、これまでの短所を補完する手法も複数出てきた(北東北3県の例、鳥取・岡山・広島県の例)。北海道では、産廃税導入が「知事3選の分水嶺」といわれるほど政治問題化した(結局、産廃税は議会において1票差で否決され、知事は3選出馬を取りやめた 3.6など北海道新聞)。

ここでは学校や施設等における環境に関する学習やイベント、グリーンツーリズムなどの内容を扱う。
環境学習の対象として、小中高生は不可欠と考えられるようになってきたが、単なる環境副読本配布や講義形式での解説ではなく、現場に出かけて体験したり、教師以外の人を招いて話を聞いたり、といった地域との連携も着実にすすんでいる。例えば、静岡県三島市では中学生が環境リーダー研修を受講し、市長に「行動宣言」を提出した(8.29静岡新聞)、また水俣市では学校の週5日制の受け皿としてまちづくり活動と連動が模索されている(7.8熊本日日新聞)。これらは先進例といえるが、他にも、世界水フォーラムをきっかけに「エコスクール」として指定された学校が「京の水マップ」を作成した例(5.2京都新聞)や静岡県下田市の「海の探検隊」、静岡県掛川市の「水の探偵団」(それぞれ、5.14、5.24静岡新聞)といった例がある。
児童や生徒が出かけていくのとは逆に、栃木県足利市では地域の人を招きパネルディスカッションを開催した(5.16下野新聞)という例もある。
金沢市の二上工業高校では、技術者の養成をめざしてISO14001の認証取得を目標とした取り組みを始めた(5.23北國新聞)。また愛媛県重信町(12.6愛媛新聞)や埼玉県新座市(12.24埼玉新聞)などキッズISOについての取り組みも目立つようになってきた。
朝日新聞などの全国紙上でも論争があったが、小学校の芝生化も今後進んでいくと思われる。記事では、宮城県小牛田町の例がみられた(10.21河北新報)。光市では、太陽光発電を設置した高校があった(10.18中國新聞)。これらのように、学校における環境配慮の重点取り組みは緑化や太陽光発電をはじめとする自然エネルギー導入、そして地道な省エネになっていくであろう。
福島県では、県と5町村が共同で「自然体験型の観光地づくり」をめざして、受け入れ態勢の研究を開始した(.9.12福島民報)。また、岐阜県宮村では、「グリーン体験塾」として農村生活を楽しみながら、豊かな自然を堪能するプログラムが検討されている(.5.22岐阜新聞)
また、和歌山県では「緑の雇用」政策の開始に続いて、「緑の教育特区」構想を打ち出した(.9.26紀伊新報)。都会の子どもたちが、通常通っている学校と県内の学校との「二重在籍」を認めるという規制緩和を求めているものである。
今年に目立った動きではないが、各地で環境フェスタ、フェアなどの名称で「普及啓発」事業が盛んである。これらの直接的な環境改善効果は不明であるものの、こうして新聞記事に取り上げられやすいという意味では成功しているのかもしれない。しかし、それらが毎年恒例の企画となっていくことで、マンネリ化する危険を忘れてはならないだろう。群馬県高崎市の環境フェアには10万人が訪れたという記事(5.27上毛新聞)や三重県津市の環境フェアには5000人が訪れたという記事がみられた(10.21伊勢新聞)。また、子どもの参加を募った企画として、岐阜県高山市の子ども環境会議(7.31岐阜新聞)、松江市の子ども環境フォーラム(10.28山陰中央新報)、熊本市の子どもエコフェスタ(12.2熊本日日新聞)などがあった。

この項目は住民(市民)参加、環境イベントの企画運営や地域の保全活動などの内容を扱う。
ここ2,3年増えてきた自治基本条例、市民参加推進条例などに続いて、「まちづくり」「むらづくり」条例の制定やその検討も相次いでいる。例えば、高知市のまちづくり条例(ま