本項では、環境自治体会議の共通目標に基づく分野ごとの環境施策実施状況および各自治体の特徴的施策について、自治体調査をもとに集計分析を行いました。
調査対象期間は2001年度(2001年4月1日〜2002年3月31日)、調査対象自治体は、調査開始時点(2003年1月)における当会会員自治体(年度途中加入会員の一部は含まず)です。
全自治体における実施施策数は、昨年調査時における2,897から3,586へと大幅に増加、一自治体あたりの平均実施施策数も51.2施策となりました。00〜01年度にかけての平均増加数も5.2施策と、毎年平均5施策ずつ増加する傾向が、98年の調査開始時より継続してみられます。実施数の伸びは「5.廃棄物」「7.環境行政」の分野で高く、「6.有害物質」「1.地球環境」「3.水環境」における取り組みは、依然進みにくい傾向にあることがわかります。
環境自治体会議 自治体会員における施策実施数の経年変化

(1)地球環境 〜庁舎のエネルギー削減は進むも、地域関連政策は進まず
庁舎や公共施設における省エネ、自然エネルギーの導入が、昨年に引き続き高い伸び率で推移しているのをはじめ、環境家計簿など情報提供の取り組みも進みつつあります。一方で、環境共生住宅の建設や排熱・融雪エネルギーの導入、ESCOへの補助・融資といった、地域の脱温暖化にインパクトのある施策は依然進みにくい傾向にあることがわかります。また法改正の影響からか、8自治体がフロンの回収・破壊を取りやめています。

(2)大気環境 〜公共交通・自転車推進施策が増加。面的展開に大きな課題
高齢者に利用しやすい低料金公共交通の導入開始が、都市部の自治体を中心に増えています。自転車利用推進の動きも、前年調査時より増える傾向がみてとれました。しかし、新交通システムや低公害車相乗りシステム、共同輸配送システムといった面的展開の必要な政策には、引き続き進展がみられませんでした。財政的な問題に加え、政策遂行に必要となる連携体制の構築に膨大な労力がかかることから、市区町村レベルの取り組みには限界があるようにも思えます。

合併処理浄化槽の普及促進や、河川清掃・水質浄化運動には、会員自治体の8割以上の自治体が取り組んでいます。また水辺環境の整備も、実施率が高いことが分かります。一方、分野全体の伸び幅が少ないことから、すでに現時点で実施可能な施策は進めた上で、新たな施策が増えない傾向にあるようにも考えられます。

(4)自然環境(農林業)〜進展率が低い中、有機農業推進、雨水利用が進む
全国的に地産地消の取り組みが進む中、会員自治体においても有機農業の推進が伸び幅を増やしています。また、雨水の貯留・利用や動植物調査といった取り組みの伸び率も目立ちます。しかし、他の分野に比べメニュー数も多く、会員自治体の地域特性ともリンクする項目が多いわりには、実施数の伸びは低調です。

(5)廃棄物 〜法改正でグリーン購入、不法投棄対策が大きく進展
分別システムの構築に関わる項目の伸びがとまり、ポイ捨て・不法投棄の監視徹底が進展しました。昨年に引き続き取り組み増加数の多かったグリーン購入の実施とあわせて、法改正等に基づく社会的状況が、自治体政策を後押していることがうかがえます。BDF化や生ごみのメタン発酵、エコセメント化といった個別リサイクルメニューは、調査開始時よりどれも突出した増加傾向を見せておらず、ごみ処理手法における自治体のベストプラクティスが未だ示されていないことが分かります。

(6)有害物質 〜ダイオキシン対策ほぼ完了。転換点を迎える有害物質対策
昨年12月のダイオキシン特措法による排出規制強化に伴い、野焼き防止、小型焼却炉の回収、基準をクリアできなくなった焼却炉の使用抑制が各自治体で進められました。その他の有害物質関連の取り組みは、依然進む傾向にありませんが、農薬・化学肥料の使用削減については、5年以内に何らかの取り組みを目指す会員自治体も多く、今後の展開が期待されます。

最も実施増加数の多かった本分野において引き続き顕著にみられるのは、環境マネジメントのしくみづくりに関連する項目でした。例年5自治体前後の増加数となっているISOの認証取得に加え、政策・行政評価システムを導入する自治体も、調査開始時との比較でほぼ倍増となりました。温暖化防止計画やエネルギービジョンを策定した自治体は40自治体で、すでに環境基本計画の策定自治体数を超えていますが、その要因として法による義務付けや、100%という補助率の高さが大きな推進力であることが考えられます。
(8)環境学習 〜地域環境政策の鍵として、取り組みが着実に増加
本分野の取組数は全体的に増加し、中でもイベント・講習会・ワークショップの開催自治体数が、2年連続で大幅な伸び幅を示しています。住民による学習会の支援や環境学習講座の開設といった項目も実施数を着実に伸ばしています。財政的要因や連携体制づくりの難しさから、ともすると自治体環境政策が庁内でできることに留まりがちであるのに対し、環境学習は地域住民を対象とした政策の中でも、自治体として最も展開しやすい政策分野の一つであると言えるかもしれません。

公募市民を入れた委員会・市民会議の設置数の増加は、住民の自主的環境保全活動の援助数の増加とあわせて、環境分野における住民自治の広がりと定着を示しているといえるでしょう。また、職員の環境保全活動への参加奨励も着実にその数を伸ばし、取り組み自治体は5割を超えました。
