4.共通目標の係わる全国的な動向

◎ 全般

この資料は、一ないし数個の都道府県単位で発行される地方日刊紙から、2001年12月〜2002年4月までの期間で、環境自治体会議の共通目標の分野ごとに関連した記事を抽出し、その傾向を分析したものである。新聞記事であるので、情報が客観的な重要度によって選択されているとは限らず、各社でニュース性があると評価した情報が収録されるという偏りはあるが、いま環境に関してどのような情報が社会的に注目されているかを知ることによって、環境政策の企画・実施の一助となることを目的として編集したものである。

@ 地球環境

この項目は、省エネ・環境にやさしいエネルギー(新エネ、代替エネ)・地球温暖化防止に関する内容を扱う。

◆「地球温暖化阻止! 東京作戦」の発表

京都議定書の批准を控え、国内対策で実効を挙げることがますます緊急の課題となっているが、自治体の政策に関連して、この間のトピックスで最も注目されるのは東京都(自治体としては巨大であり欧州の一国に相当するが)の「地球温暖化阻止! 東京作戦」であろう。これは「3つの目標」「5つの提案」「7つのアクション」というプログラムからなっている。「3つの目標」として、自治体の議論から国の地球温暖化対策をプロモートすること、東京を省エネルギー型都市に変えること、環境産業の拡大をめざすことが挙げられている。また「5つの提案」の中で、自治体政策として斬新な項目は、CO2削減証書市場の創設であろう。その具体的な制度設計の内容には、これから議論があると思われるが、実効性を挙げる一つの方法として注目される。

◆「新大綱」発表されるが実効性に疑問

省エネ・新エネに関しては、各自治体や市民グループにより、取り組みが続けられていることは個々に伝えられているものの、新聞記事としては注目度が低く、大きな扱いが少なかった。その背景として、それらを促進するための制度的・経済的枠組み、たとえばグリーン電力を優遇する買取り制度などが先送りされ、温暖化対策に量的にインパクトを与えるような話題が乏しいことが挙げられるのではないだろうか。
2002年3月に地球温暖化対策推進本部から「地球温暖化対策推進大綱」(以下「新大綱」)が発表された。しかしながらその内容は、かねてより各市民団体から指摘されているとおり、旧大綱に比べて若干の数字の出入りが見られるだけであり、実効性を保証する制度的・経済的な仕組みを促進する方向性が乏しい。むしろ、個人に依存する省エネ行動がいっそう強調された傾向がある。もとより個人の省エネ行動は重要であるが、たとえ対象が個人であっても、環境負荷の少ない選択をすることが利益になる(損失を防止する)という、政策的・経済的仕組みが伴わないかぎり、量的な拡大は期待できないであろう。

◆原油価格、依然として安価

全体的なエネルギー情勢として、2001年9月の米国テロ事件で瞬間的に原油価格が上昇したものの、その後は低落を続けた。2002年3月になると、中東危機の影響で上昇に転じたが、化石燃料からの転換の促進に影響を及ぼすまでの要因となっていないようである。

A 大気環境

◆中小規模自治体での公共交通の危機

この項目は、大気汚染および環境負荷の少ない交通手段に関する内容を主に扱う。なお昨年と同様に、産業起源の大気汚染の記事は少なかった。
2001年から2002年にかけて、この分野での全体的な傾向として、特に環境自治体会議の会員の多くを占める中小規模の自治体におけるバス問題が多く扱われた。道路運送法の改正、すなわち従来は、路線の休止・廃止に際して事業者が国土交通大臣(旧運輸大臣)の許可を必要としたところを、2002年度から届出でよいことになるために、これまでも赤字路線を抱えていた事業者が続々と撤退を表明した。環境の観点からよりも、住民、なかでも移動制約者のモビリティをどのように維持するかが、自治体の深刻な問題となっている。
本来、道路運送法の改正は、規制による束縛が多かったバス事業の規制を緩和し、より多様で効率的なサービスを提供することが目的であったが、実際の現象としては、不採算路線からの撤退が相次ぐ結果を招き、各自治体で対応に追われているのが実情である。しかしその中でも、事業者が撤退路線の代替や、さらにこれまでバスがなかった地域の移動制約者のモビリティを向上するため、いわゆるコミュニティバスの路線開設や、さらには新しいシステムとして、乗用車を利用した予約運行方式などの試みも相次いでおり、そのすべてが成功とは評価できないものの、自治体の努力が続けられている。
また公共交通の中でも、最も環境負荷が少ない鉄道の廃止も相次いでいる。2000年に撤退条件が緩和された鉄道事業法の影響がすでに報告されている。鉄道路線を廃止して代替バス路線に移行した6路線を調査した結果によると、名鉄谷汲線(岐阜県)でバスの通学定期券の金額が鉄道よりも最大で5倍近くに上昇し、乗客が鉄道時代の8割減となるなど、軒並み利用者の減少が続いている。前項(温暖化)とも関連するが、新大綱で、たとえば「国民運動による公共交通機関の利用促進」という項目が新たにつけ加えられたにもかかわらず、それを担保する対策は用意されず、逆に公共交通機関の利用意欲を減退させる事態が起きている。

◆大気汚染裁判で自治体の責任問われる

大気汚染の面でみると、2000年に尼崎と名古屋の道路公害裁判において、道路からの排出ガス差し止めが法廷で認められたほか、2001年12月に、東京の大気汚染裁判が結審を迎え、2002年8月(予定)の判決を待つ状態になっている。これらは、自治体が被告の一つになっているにもかかわらず、実際に汚染を出しているのは不特定多数の自動車使用者であるという点で難しい問題であり、実効ある対策には、各方面の関係者を統合した高度な対応が求められている。
この分野での全体的な傾向をまとめると、大きな自治体では大気汚染対策が、また中小規模の自治体では、移動制約者のモビリティ確保が、重要な政策課題となっている。

B水環境

この項目は、清らかな水辺環境と生活排水処理を扱い、主に浄化槽や水質向上等に関しての記事が当てはまる。

◆飲み水を守る条例などは全国で181自治体

上水については、飲み水を守る条例や要綱を持つ市町村は181にのぼり、近年では産廃対策としての傾向が強いという。また、オゾンと活性炭を使用する「高度上水処理」を導入しようとする自治体が相次いだ。稼動または建設中の浄水場は全国各地に広がり、約30をかぞえた(2001.5.13朝日新聞)。

◆下水整備は若干上昇したが自治体規模により格差がある

下水については、環境省資料(http://www.env.go.jp/recycle/jokaso/osui.pdf)によると、平成12年度末の全国の汚水処理施設による整備率は、平成11年度末から2%上昇し、71%となった。しかし、特に人口5万人未満の市町村においては整備率が45%と、大都市と中小市町村では大きな格差がある。そして、浄化槽法の一部改正による新規単独浄化槽の設置禁止と既存単独浄化槽の合併浄化槽への転換義務やロンドン条約の規制強化に伴うし尿の海洋投棄全廃等から、自治体独自の助成の上乗せ(群馬県伊勢崎市)やし尿処理場の共同建設(佐賀県東松浦郡の6町村)など汚水処理施設整備の取り組みが各地でなされた。また、導入・維持コストを低減させるために、国レベルで管轄の異なる生活排水浄化対策を一本化する研究チームの設置(三重県鈴鹿市)、農業排水と下水道を接続する(島根県東出雲町)など、より効率的な導入を図る動きが報じられた。

◆閉鎖性水域での取り組みやや進む

閉鎖性水域では、宮城県迫町の中国野菜栽培や霞ヶ浦のアサザプロジェクト、宍道湖・中海のヨシ帯設置など植生を利用した水質浄化、用水等では、山口県柳川市や徳島市の有機微生物の投入、炭の河川敷詰め計画(滋賀県)、バクテリア分解と植物水槽を組み合わせた水質浄化装置の設置(三重県)などユニークな取り組みがなされているが、いずれも効果については未知数であり、実験段階といえよう。

C 自然環境・水循環

この項目は、流域や地域内の循環としての農林業・森林・水環境・緑、そしてそれらの公益的機能の維持等を扱う。

◆「地産地消」運動が全国で急展開

農業に関しては、大きな展開として「地産地消」運動が全国各地で始まり、数多くの取り組みが報道された。例えば、福島県の「地産地消」運動の推進(2002.2.7福島民報)や鹿児島市での「食と環境フォーラム」(2002.2.19南日本新聞)など、「地域内自給、地域内消費」を考えていこうという動きが各地で行われている。また具体的な運動として、学校給食に有機栽培の地元農産物を利用していく話題もあり、高知県南国市の事例(2002.1.16高知新聞)など数多く報道されている。 さらにこれらを条例などで定めていく動きもあり、福井県小浜市は2001年9月に「食のまち条例」を制定している(2002年4月施行)。

◆有機認証制度の支援が始まる

2001年度は認証が厳しいと言われる有機JAS法が施行され、認証を目指す生産者を支援する動きが様々な自治体で見られた。特に宮崎県綾町は、有機農産物認定機関として全国の市町村で初めて登録された。反対に、改正JAS法の対象外へのお墨付きの裾野を広げていく動きも見られ、減農薬栽培などにも生産者の意欲や消費者の認識を高める効果が期待されている。鳥取県は農薬や化学肥料を減らした農産物を独自に認証する新しい制度を2001年8月に立ち上げた。

◆林業と水源基金

林業については、岩手県住田町や山梨県で森林認証を取得する試みや和歌山県の緑の雇用事業等が報じられたほか、秋田スギの柱を新築予定者に贈呈(秋田県)などユニークな試みが報じられた。 森林に関しては、所有者の活動助成のための基金創設、環境教育や森林ボランティアの植樹等の活動、流域協議会や会議の発足など、各地で主に流域単位あるいは流域にとどまらずより広域的な範囲での連携が報じられた。また、厚生労働省の調査によると、32市町村が水源林整備のための基金を制定し、23市町村が上流排水処理施設への援助を行っている。

◆屋上緑化など

身近な緑に関しては、屋上緑化の記事が多く、東京都と板橋区での義務化そして大阪府・兵庫県・大阪市・神戸市等の導入検討の記事がみられたほか、鹿児島県東市来町の役場省エネを目的とした導入の記事がみられた。また、民有地緑化補助の大幅な条件緩和(岐阜県各務原市)、社寺林や屋敷林買収のため基金創設(埼玉県富士見市)、公共事業等で失われる自然を別の所で再生する自然再生条例(埼玉県志木市)などが報じられた。
野生生物保護に関しては、希少動植物保護条例の制定(岡山県哲多町)やレッドリスト作成(富山県)・指針の検討(埼玉県)等が報じられたが、神戸市や群馬県新治村等の餌付けを禁止する条例や神奈川県の移入鳥獣指定など獣害や移入動物被害についての対策も報じられた。

D廃棄物

この項目は廃棄物の減量やリサイクルなどの内容を扱う。

◆家電リサイクル法施行で不法投棄対策が進展

2001年4月1日の家電リサイクル法施行直前、全国各地で大型家電の駆け込み排出が相次いだ。処理しきれなくなった廃家電が市町村のストックヤードを占拠し、収集運搬車が朝夕ひっきりなしに町内を走り回るなど、市町村はその対応に追われた。法施行に伴い、不法投棄を防止するためのシステムの検討、実践も進んだ。職員1,000人による環境ボランティアグループを発足し、不法投棄多発地域の巡回と公園、道路の清掃活動を開始した佐賀市や、24時間監視のデジタルカメラを設置した栃木県や千葉県市原市などに加え、仙台市や大阪府貝塚市のように、市内全郵便局やタクシー会社と連携した監視活動も各地に波及した。不法投棄された廃家電処理費に対する自治体負担の見直しや購買時におけるリサイクル費用徴収など、自治体からはすでに法改正に向けた要望が相次いでいる。

◆排出者負担のあり方が問い直される

住民の反対運動で新たな産廃処理施設の建設が難しくなっていることなどを受け、環境省は2001年5月、中小の事業者が排出する産業廃棄物を一般廃棄物用の焼却炉で家庭ごみと一緒に処理する方針を決定。ダイオキシン規制やそれに伴う大型炉建設への誘導策ともあいまって、中環審等でも一廃・産廃の区分見直しが議論され始めたが、市民団体を中心として、分別・減量化へと逆行する流れになるのではないかとの懸念が早くも強まっている。
また、産業廃棄物税の動きも本格化した。2002年4月導入の三重県を皮切りに、28都道府県ほか北九州市等において現在導入に向けた検討が進んでいる。岐阜県多治見市による一般廃棄物埋立税(2001年12月条例可決、2002年3月総務省同意)も、全国初の自治体間課税として注目を集めた。東京都杉並区では、2002年3月議会にて「すぎなみ環境目的税(レジ袋税)」が賛成多数により可決。レジ袋税、産廃税、一廃税ともに最終的な目標はごみ処理経費の削減と埋立量の減量化であるが、家庭ごみ有料化の検討を求める中間報告をまとめた東京都廃棄物審議会の議論などともあわせると、この1年は排出者責任のあり方が大きく問い直された1年でもあったと言えそうだ。それに対し、製造・販売事業者における拡大生産者責任の見直しは進まず、数あるリサイクル法も発生抑制にはつながらないとの見方が以前にもまして強まっている。

E有害物質

この項目は有害化学物質の削減についての内容を扱う。

◆広がる市街地土壌汚染に法制定の動き

昨年度に引き続き、工場などから漏れ出した有害化学物質による土壌汚染の被害が相次いだ。2001年4月には東京都大田区の区道の土壌から、国の環境基準の570倍に当たる高濃度のダイオキシン類が検出され、全国初のダイオキシン特措法の対策地域に指定されるなど、とりわけ市街地における土壌汚染対策が目立つ。こうした現状を受け国は土壌汚染対策法の検討を開始、年度明けの2002年4月9日、衆院本会議において全会一致で可決されたが、汚染者負担の原則や汚染防止の視点に決定的に欠ける法案再考を求める声が、NGOを中心に早くも高まっている。土地所有者へ調査と汚染除去を義務付ける本法案が可決されれば、自治体所有地のリスク管理義務も、当然ながら強化されることとなる。

◆進むガス化溶融炉建設

2002年12月の規制強化を間近に控えた、焼却炉から排出されるダイオキシン対策も自治体にとって切迫した問題だ。一般廃棄物焼却炉の建てかえとそれに基づく大型・広域化の議論が各地で展開されている。とりわけ「ダイオキシン類の発生を抑制し、埋立量を極力押さえる」ガス化溶融炉建設に向けた調整が活発だ。2001年度中にも自治体の広域組合を中心として、秋田県鹿角広域行政組合、岐阜県中津川・恵北環境施設組合などが建設を発注、香川東部清掃施設組合や新潟県巻町外三ケ町村衛生組合などで運転が開始された。一方、建設予定地をめぐる調整の難しさや、安全性とごみ政策の後退を懸念する住民の反対運動も数多く持ち上がっている。

◆化学物質管理に東京都が独自ルールを制定

小学校にて有毒物質PCB(ポリ塩化ビフェニール)入り蛍光灯が破損し、児童に降りかかる事故が起きたのを契機に、東京都では2001年6月、PCB適正管理始動要綱を策定、事業者に対し無使用製品への計画的交換と製品の適正管理、使用状況の報告・公表を定めるルールを、国に先駆け制定した。有害物質の子ども向け新基準値の制定や、国指定の適正管理化学物質を都条例にて57種上乗せすることについても検討するなど、化学物質管理に向けた自治体牽引役としての東京都に期待が寄せられている。

F 環境行政

この項目は、環境基本条例などの条例制定、各種計画等の策定、ISO14001などの環境マネジメントの取り組み、環境アセスメントなどを対象とする。

◆多様な展開をみせる環境関連条例

条例制定は環境基本条例だけでなく、環境確保条例、循環型社会形成推進条例、自然再生条例など環境政策の重要課題に対応した多様な展開がみられる。計画策定については、環境基本計画の見直しが特に都道府県レベルで盛んに行なわれてきている。例えば、滋賀県では「環境総合計画」の見直しにあたり、ホームページ上で、議論を公開し、県民アンケート調査の実施や意見募集がなされている(2002.1.17京都新聞)。

◆自治体のISO14001認証取得は着実に増加

自治体におけるISO14001認証取得については、一時に比べればペースは落ちたとはいえ、取得自治体数が着実に増加し、2001年5月末に229であった累計数が2002年1月末には283となった。これらに加えて、地域独自の規格をつくったり、家庭版・学校版などとして、自治体庁舎以外へも取り組みを広げていったりする試みが増えてきた。例えば、KES(京都・環境マネジメントシステム・スタンダード)は「京のアジェンダ21フォーラム」が2001年4月から運用開始した、第三者機関による審査も含めたシステムである。同様の試みが仙台市、東京都調布市、香川県丸亀市などにおいてもみられる。家庭版・学校版については、大分県、茨城県古河市、宇都宮市、埼玉県所沢市、同県富士宮市、熊本県水俣市などで実施されている。

◆その他の試み

自治体の予算と環境政策・対策との関係も重要なテーマである。環境会計と銘打った取り組みとしては、神奈川県横須賀市、東京都水道局に加えて、岩手県も試算を公表した(2002.3.27岩手日日新聞)。平成12年度の県一般会計決算を基に試算したところ、5850万円分悪化という結果だった。また、環境会計とは異なる取り組みとして、兵庫県は公共工事費の5%を環境対策に充てる「環境創生5%システム」を導入した(2002.2.19神戸新聞)。県が発注する一億円以上の新規の公共工事が対象で、原則として工事費の5%以上を太陽光発電や屋上・壁面緑化推進など環境の保全や創造に充てる。 環境アセスメントについては、従来の事業アセスに加えて、政策アセスや、経済的・社会的な側面の評価も含めた「戦略的(環境)アセスメント」の検討が、既に試行段階にある東京都をはじめ、埼玉県や長野県などでなされるようになってきた。
最後に補足であるが、各種の団体による自治体の環境政策のコンテストも増えてきた。財団法人社会経済生産性本部が表彰する「自治体環境グランプリ」は2002年4月で2回目を迎えるが、エコ・ライフスタイル推進部門賞に三重県、資源環境生産性向上部門賞に宮城県環境事業公社、コラボレーション賞に高知県梼原町、特別賞に千葉県が選ばれた(2002.4.4伊勢新聞)。また、NPOの環境市民(京都市中京区)など全国9つの市民団体が合同で実施した第1回「日本の環境首都コンテスト」(93自治体が応募)では、名古屋市が最高点を獲得し、総合1位(グランプリ)に輝いた。主な入賞自治体は次のとおり。【総合順位】(2)福岡市(3)仙台市(4)北九州市(5)熊本市(2002.3.14京都新聞)。

G 環境学習

この項目は学校や施設などでの環境に関する学習やイベント、グリーンツーリズムなどの内容である。

◆「総合的な学習の時間」での環境学習

環境学習の動きとして、学校教育では2002年度から「総合的な学習の時間」が全国で実施され、その中で環境学習が多く取り上げられるようになった。しかし教師側の時間的、能力的制約があるため、地域や民間の支援など外部の人的資源を利用し、環境学習の効果をいかに上げていくかが、これからの課題であろう。茨城県では環境学習の小学生用プログラムを作成したり(2002.3.26下野新聞)、岩手県白河市では、総合学習支援員を配置するなど(2002.2.21河北新報)、学校を支援する事業が行われてきている。

◆環境学習施設のソフト・人材の充実

週休二日制の2002年度からの実施を控え、各地で環境学習施設でのハードの整備はもちろん、ソフトや人材の充実が進んでいる記事が多くなってきた。特に、四日市市での環境学習センター長の公募(2002.1.30伊勢新聞)や、山口県での自然体験活動のプロを養成する事業(2002.3.6中國新聞)などが展開されており注目されている。また埼玉県宮代町では従来の環境学習施設ではなく農的な暮らしに特化した施設の展開を行っている(2002.2.26埼玉新聞)。

◆エコツーリズム・グリーンツーリズム

2002年が国際エコツーリズム年と国連で定められていることも影響してか、エコツーリズムの展開が各地で行われてきている。例えば、北海道では2002年度よりグリーンツーリズム促進のためガイドラインを制定する予定だ(2002.1.15北海道新聞)。また岐阜市では自然体験型の旅プランづくりのための調査費を予算案に盛り込んでいる(2002.3.1岐阜新聞)。地域環境の特色を活かした体験学習を観光にしていく取り組みが熊本県水俣市など各地で少しずつ展開してきている。(2002.1.18熊本日日新聞)。

◆「行動する」「ネットワークする」段階へ

従来のシンポジウムやネイチャーゲームなど、環境学習の基礎である「知る・親しむ」段階から、学校側も少しずつ「行動する」段階への展開が行われてきている。全国の国公立校で初めて環境ISOを取得した宇都宮工業高校(2002.2.21下野新聞)や、沖縄県指定の環境教育モデル校の実績発表(2002.1.25日琉球新報)など、「行動する」学校や自治体との連携がいくつか報道されてきている。
環境保全という視点での公立の学校と地域産業の積極的なつながりも見られる。学校給食に有機栽培の地元農産物を利用していく高知県南国市の事例(2002.1.16高知新聞)や、や鹿児島県川辺町での小中学校の机・いすを町内産ヒノキにする取り組み(2002.1.25南日本新聞)、徳島県池田町の独自開発の杉間伐材の机・いすの導入(2002.2.6徳島新聞)などである。
また従来の環境活動の中で分野ごとの縦割りではなく横のつながりを目指して、様々な環境団体のネットワークが発足する報道もいくつかある。「九州環境ボランティア会議」を構築(2002.2.4熊本日日新聞)や埼玉県川越市の「川越環境ネット」などだ。また流域単位のネットワークも誕生してきており、下流域と交流する環境学習を高知県嶺北地域の住民が始めている(2002.1.25徳島新聞)。

H 住民参加

この項目は市民参加、環境イベントの企画運営や地域の保全活動などの内容を扱う。

◆参加の権利を条例で位置づける方向へ

参加全般に関しては、条例を制定し、参加や意見を出す権利などを保障する方向性が明確になった。例えば、自治のあり方の一つとして参加を位置づける自治(まちづくり)基本条例は、北海道ニセコ町(2000年12月制定)を嚆矢として、同月には兵庫県宝塚市でも制定された。同様の条例が東京都杉並区などでも検討されている。市民参加推進条例といった名称では、北海道石狩市で制定されたほか、京都市、三重県名張市、栃木県南河内町などでも制定に向けた議論が進んでいる。石狩市の条例は、すべての行政活動に市民参加手続きを義務づけた。
住民による意思決定(表明)も参加として考えれば、個別課題に対する住民投票の動きに加えて、課題を限定しない「常設型」住民投票の制度化も注目に値する。早くから大阪府箕面市にも投票制度が位置づけられていたが、最近になって制度化が増加しているといえよう。2000年3月に制定された長崎県小長井町の「町づくり町民参加条例」では、町政の重要施策について、町長発議に基づいて必要に応じた投票が実施できるようになっている。2000年12月、愛知県高浜市においても「常設型」の住民投票条例が制定されている。宝塚市、ニセコ町の「まちづくり基本条例」にも住民投票制度が位置づけられている。また、滋賀県米原町が提案した住民投票条例は「常設型」で、永住外国人も投票できるようにした珍しい条例案であったが、2001年12月、議会で否決された。

◆パブリックコメント拡大の一方で、個別事業では情報提供レベルにとどまる

情報提供、意見募集とそのフィードバック、計画づくりにおける協働など、参加の段階ごとに事例を拾ってみると、まず、地域情報・環境情報の市民への提供は「紀州灘沿岸保全基本計画案の地元説明会」(2002.2.27紀伊民報)、「千厩ダム建設計画中止の経過報告住民説明会」(2002.3.18岩手日日新聞)など各地で行われている。また、個別政策分野において環境アセスなどとは別に住民への説明会を義務づける、岡山市産廃処理施設条例案のような事例もある(2002.2.7山陽新聞)。
意見募集については、政府省庁の動きに追従するように、パブリックコメントの制度化が進んできた。条例化した例としては、横須賀市(2001年9月制定、パブリックコメント手続き条例。2002年4月から施行)が挙げられる。要綱等に基づいた実施は、岩手県、福井県、滋賀県(2000年4月から)の例があり、神奈川県、三重県、京都市などにおいては検討されている。

◆審議会等、各種計画づくりへの公募住民参加

審議会などの公的意思決定機関へ公募住民を参加させる取り組みも盛んだ。先に述べた小長井町の他、東京都、山口県、愛媛県、東京都練馬区、同八王子市、静岡市、愛知県豊川市、広島県大野町などにおいて公募比率や女性比率を数値目標として掲げるなどの方法で、公募が積極的に推進されている。
計画づくりへの参加、協働の事例は、都市計画関連が目立つ。最近の記事を拾うだけでも、兵庫県西宮市では「白地地区」のまちづくりに参加(2002.1.16神戸新聞)、住民参加型の都市計画マスタープラン策定をめざす静岡県蒲原町(2002.3.7静岡新聞)の例がある。
参加というと、とかく計画策定段階への参加が重視されがちであったが、今後は政策評価過程への参加も重要になってくると考えられる。宮城県は2001年4月から政策評価条例に基づく評価を開始したが、ここでは専門家などの第三者委員会が設けられている。