3.共通目標達成に向けての会員自治体の取り組み状況

3.1 取組み状況の概要

集計自治体数は、98年度について48、99年度が57、今回調査した2000年度が63でした。

(1)9つの共通目標別


-平均施策数は40.7から46.0に増加、昨年度と同様、廃棄物分野の取組みが進行-

共通目標別の表

全体として、取り組んでいる平均施策数は40.7から46.0に増えました。今後取り組む施策も含むと59.7から64.4へと増えました。去年と比較し、全会員では施策の増加数は平均5.3ですが、前回調査した自治体に限ると5.8増えています。
共通目標の分野別にみると、廃棄物に関する取組みが11.1と最も多く、この1年でも1.2増えています。次いで自然環境が6.6、水環境と環境行政が5.2、環境学習4.9となっています。 一方1999年から2000年の取組みの増加数を、昨年も会員だった自治体に限ってみると、廃棄物が1.4と最も多く、環境行政が0.9、地球環境が0.8と続いています。前回報告書の比較(98年〜99年平均実施数増減)で変化の多かった分野は、廃棄物0.9、環境行政と自然環境0.6でしたので、今回の調査では地球環境の分野での施策実施の伸びが大きくなっています。廃棄物の施策の充実が目立つのは、廃掃法や容器包装リサイクル法の改正・施行の影響と思われます。
また、前回の報告書では、新規加入自治体に取組みの進んだ自治体が多かったため、全会員での平均増加数5.7に対して、前年会員のみでの増加数は3.9と少なくなっていました。しかし、今回の調査では、前年会員のみでの増加は5.8と、全会員での増加5.3より大きくなっています。この1年で会員自治体の底上げが図られ、取組みが進んだことを表しているといえます。

(2)個別施策の傾向

共通目標の分野ごとに、取り組んでいる施策の実施率(2000年)を取組みの多い順に並べたところ以下のようになりました。ここでいう実施率とは、会員自治体(正確には回答のあった自治体)のうち、実施されている自治体の割合です。自治体数が63ですので、約1.6%が1自治体にあたります。わずか1年間の変化の傾向を分析するのは多少強引ですが、あえて簡単なコメントをつけました。

@地球環境
-脱化石燃料化の取組みがやや進む-

地球環境

「庁舎の省資源・電気や燃料使用量の削減」が81%と最も多く、次いで「特定フロンの回収・破壊」が62%、「公共施設への太陽熱・風力など自然エネルギー導入」が43%となっています。以下1割以上の自治体が実施しているものが、「太陽光・風力・地熱・水力発電設備の導入と売電」、「酸性雨の測定」、「公共工事における熱帯材型枠の使用削減」など、合計13施策ありました。
一方前年度会員に限って施策の増減率でみると、「庁舎の省資源・電気や燃料使用量の削減」が7%増加し、「公共施設への太陽熱・風力など自然エネルギー導入」「太陽光・風力・地熱・水力発電設備の導入と売電」「公共工事における熱帯材型枠の使用削減」「省エネ・自然エネルギー導入への助成制度の創設」が5%増加しました。昨年と同様、自然エネルギーなど脱化石燃料化の取組みが徐々に進んでいることが読み取れます。

A大気環境
-自転車重視のまちづくりが進むきざしがみえる

大気環境

ここでの大気環境分野の施策は交通施策に限定していますが、地球環境に関する施策も大気環境分野の施策と位置づけられます。逆にここで記述した施策は地球環境分野の施策にもなります。
「公用車への電気自動車・ハイブリッド車など低公害車の導入」が65%と最も多く、次いで「大気汚染物質の監視・測定・公表」が40%、「自転車道路や駐輪場の整備」が37%が多くなっています。実施率が1割以上の施策として「事業所との協定における排出基準の強化」「共用自転車や太陽光発電を利用した共用電動自転車の導入」「その他の大気環境・交通施策」「低公害型巡回バス・福祉バスの導入・充実」の合計7施策があげられます。
一方前年度会員に限って施策の増減率でみると、「公用車への電気自動車・ハイブリッド車など低公害車の導入」が18%と、とても高い増加率を示しています。二酸化炭素の排出量削減についての行政側の取組みが進みつつあることが読み取れます。
また、「共用自転車や太陽光発電を利用した共用電動自転車の導入」も7%の増加を示しています。これは住民向けに共用自転車を整備したところと、自治体庁舎における省エネの一環として職員用の自転車を整備したところが考えられます。

B水環境
-河川清掃・水質浄化など住民レベルの運動への取り組む自治体が増加-

水環境

「合併処理浄化槽の普及促進」が81%と多く、「公共下水道の整備」「河川清掃・水質浄化運動の推進」がそれぞれ76%となっている。次いで「水質汚濁物質の監視・測定・公表」が70%、「親水公園など自然とふれあえる水辺の整備」が70%の実施率になっています。続いて実施率が4割前後になりますが、「農業集落排水設備」「観光地や山岳におけるトイレ設置、浄化施設の整備」がそれぞれ、44%、35%となります。「事業所との協定における排出基準の強化」は25%となっています。全体で13施策のうち10施策までが1割以上の自治体で取り組まれています。
一方前年度会員に限って施策の増減率でみると、「河川清掃・水質浄化運動の推進」が7%の実施率の増加、「親水公園など自然とふれあえる水辺の整備」と「事業所との協定における排出基準の強化」が5%の実施率の増加を示しています。特に「事業所との協定における排出基準の強化」については前年度の実施率が低かったにも関わらず実施率が伸びているので注目されます。

C自然環境
-森林管理に取り組む自治体が増加-

自然環境

「緑化運動・緑地保全運動の推進」が70%と最も多く、次いで「人工林・二次林の下草刈り、間伐の推進」と「苗木の配布」が54%と過半数が実施しています。また、実施率が40%の施策には「区画整理・再開発等による緑地やオープンスペースの確保」「保存樹・保存林などの指定」があり、実施率30%台には「有機農業の推進(有機性廃棄物の土地への還元)」「生物に配慮した河川改修、推理施設・排水施設の整備」「動植物の分布・生息状況に関する調査実施」があります。実施率1割を超える施策は22となっています。
一方前年度会員に限って施策の増減率でみると、「生物に配慮した河川改修、水利施設・排水施設の整備」が9%増加、また前年の実施率が2割と低かったにも関わらず、「透水性舗装の推進」も9%の増加を示しており、水循環に関する施策が整備されつつあることが読み取れます。「有機農業の推進(有機性廃棄物の土地への還元)」が7%の増加、また「民間開発の規制・誘導」が前年の実施率が2割にみたなかったにも関わらず7%の増加をしており、民間開発に対する自然環境の保全・保護の必要性が認識されてきたことが伺えます。

D廃棄物
-環境美化、グリーン購入などの取組みが進む-

廃棄物

「ごみ分別の細分化・分別徹底のための普及啓発」が90%、「生ごみ処理機・コンポスト容器の普及・補助」「ペットボトル・発泡スチロール・トレイ類の分別回収」がそれぞれ86%と多く、ごみ減量に関する取組みがほぼ定着してきているといえます。さらに「古紙・牛乳パック等紙類の分別回収」が84%、「環境美化・ごみゼロ運動・集団回収・買物袋持参運動の推進」が78%、次いで「フリーマーケット・バザーの開催や支援」「グリーン購入(環境に配慮した商品の購入)」「ポイ捨て・不法投棄の監視徹底」が50%-60%台と多くなっています。以下「観光地や山岳、イベント等におけるごみの持ち帰り運動の推進」「畜産廃棄物の堆肥化・農地への還元」「生ごみの堆肥化・農地への還元」をはじめ、1割以上の実施率の施策が計27なっています。
一方、前年度会員に限って施策の増減率でみると、「ペットボトル・発泡スチロール・トレイ類の分別回収」が18%ととても高い伸びを示しており、「古紙・牛乳パック等紙類の分別回収」「生ごみの堆肥化・農地への還元」が12%増加しました。容器リサイクル法を受けての高い実施率の伸びであることが伺えます。また、「フリーマーケット・バザーの開催や支援」が11%の伸び、また「公共事業で発生した残土の相互利用システムの構築」も昨年の実施率が低かったにも関わらず高い伸びを示しています。

E有害物質
-難しい有害物質対策。取組みは余り進まず-

「野焼きの防止、小型焼却炉の回収」が68%と最も多く、「有害化学物質(ダイオキシン等)の排出状況の把握・公表」が52%でこれに続きます。また「農薬・化学肥料の使用削減」「廃棄物の焼却処理の原則廃止」が2割前後の実施率です。
一方前年度会員に限って施策の増減率でみると、「野焼きの防止、小型焼却炉の回収」が14%と大きな増加を示しており、ダイオキシン発生規制の必要性も、また社会認識もとても大きいことが伺えます。次いで「有害化学物質(ダイオキシン等)の排出状況の把握・公表」が5%増加、「その他の有害物質対策」が4%、「農薬・化学肥料の使用削減」が2%、「建築物への防腐剤などの使用抑制」が2%の増加を示しています。
前年の有害物質対策の伸び悩みと比較して進展があったのは、有害物質に対する社会認識が高まったことや、土壌汚染の現状を、対策法を可決した国のみならず、自治体も受けとめてきたことを示しているといえましょう。

F環境行政
- 浸透しつつあるPDCAサイクルの考え方-

環境行政

「環境基本条例の制定」が49%、「環境基本計画の策定」が41%と多くなっています。実施率が30%台以上の施策のうち、環境行政を推進する手段として実施率の高いものは「住民苦情に対し迅速かつ均一に対応するしくみ確立」「職員のための環境研修・環境教育の定期的実施」「環境状況や環境政策の年次報告書の作成」「事務・事業に関する定量的な目標設定」「トップダウン型(首長の指示による)環境政策推進・見直し」などです。一方これらを実行するための計画・しくみとしては「温暖化防止計画・エネルギービジョン」「環境を優先した総合計画(長期計画)」の実施率が30%台となっています。
一方、前年度会員に限って施策の増減率でみると、「温暖化防止計画・エネルギービジョン」が11%、「住民苦情に対し迅速かつ均一に対応するしくみ確立」が9%との伸びを示しています。次いで7%の実施率の伸びを示している施策は「環境基本条例の制定」「環境を優先した総合計画(長期計画)」「職員のための環境研修・環境教育の定期的実施」「事務・事業のための指針や手順書作成」「企業や住民の環境マネジメントシステム導入支援」となっています。ISOなどの環境マネジメントシステムが少しずつ浸透してきていることが伺えます。

G環境学習
-学校での課外活動の機会、環境学習・自然体験のための拠点施設が充実しつつある-

環境学習

「こどもエコクラブ・地域清掃活動など学校での課外活動の実施」が75%、「学校での環境学習の実施・副読本の作成」が70%と多くなっており、学校教育での環境学習は、2002年度の総合的な学習の時間の実施を控えて定着しつつあります。また「住民の自主的環境学習会への支援・講師派遣」「環境に関するイベント・講演会・ワークショップの開催」「公民館などでの環境学習講座の開設」が50%以上の実施率となっており、その他の施策も12施策中11施策までが実施率1割を超えています。
一方、前年度会員に限って施策の増減率でみると、「こどもエコクラブ・地域清掃活動など学校での課外活動の実施」「環境学習・自然体験のための観察施設・拠点施設の整備」が11%の大きい増加を示しており、特に、拠点施設の整備については、前年の実施率が低かったのにも関わらず大きな伸びを示したことは注目できます。2002年度からの週休二日制の導入を控えて、学校外の拠点施設を中心としての環境学習の機会を充実させつつあることが窺い知れます。また、「住民の自主的環境学習会への支援・講師派遣」「公民館などでの環境学習講座の開設」が9%となっており、住民の環境学習の取り組みも多くなっていることが読み取れます。

H市民参加
-市民への情報提供はやや進む-

市民参加

「地域情報・環境情報の市民への提供」が実施率が54%と最も多く、「環境保全活動への職員の積極的参加の奨励」が46%、次いで「地域単位での環境保全行動・活動の誘導・支援」が41%、「環境イベント等の住民による企画運営」「住民の自主的環境保全活動への援助など」が40%、「公募市民を入れた委員会や市民会議の設置」が35%、「環境モニターや環境保全指導員などの設置」が32%と多くなっています。
一方前年度会員に限って施策の増減率でみると、11%の高い実施率の増加を示している施策が「地域情報・環境情報の市民への提供」「環境保全活動への職員の積極的参加の奨励」「地域単位での環境保全行動・活動の誘導・支援」です。地域への市民の意識を行動につなげていく取り組みが生きてきていること、そして職員の環境活動への積極性も重視されてきていることが伺えます。

Iその他

その他

「伝統的な建物・景観・音風景の保全」が37%の実施率で最も多く、次いで「ペットによるふん害の防止」が32%、「バリアフリー型街路の整備」が24%と多くなっています。「健康被害に対する相談・支援など」が19%、「都市景観形成地区・保全地区等の指定」は14%となっています。 一方前年度の会員に限って施策実施の増加率を見ると、「健康被害に対する相談・支援などが9%と、実施率の割にとても高い伸びを示しております。次いで「ペットによるふん害の防止」が7%の増加、「バリアフリー型街路の整備」が5%の増加を示しています。

分析上の課題

1年間の変化で敢えてコメントをつけてみましたが、自治体数が60前後と少ないため、増加率が10%あっても、実際には6自治体前後しか増えておらず、これで本当に増えていると結論づけてよいか疑問が残ります。また、人口規模別や都市自治体と農村自治体を類型別に分けた分析も必要ですが、会員自治体数が少ないため、ますます傾向が読みにくくなります。しかし全自治体で集計すると、その施策をやる必要のない自治体まで含まれてしまった集計になります。規模や類型ごとに政策スタンダードを検討し、それに対する実施率を求めていく方式を来年度以降検討していきます。

(3)自治体別の取組み状況

ランキングの意図

2001年度の共通目標小委員会では、「ランキングして示せるものはできるだけランキングしたほうが良い」という意見が大勢を占めたため、去年に引き続き上位自治体リストを掲載することにしました。
共通目標のそもそもの意図は共通目標達成にむけて各自治体がそれぞれ固有の特色ある施策を推進すればよいのであって、施策の数の多少で優劣が決まるものではありません。その原則は変わっておりません。
とはいっても、自治体間に序列をつけ競わせるようなことになっているかもしれません。しかし、それでも「相対的位置が前年からどう変化したか」を知りうる情報を各自治体の皆様に提供することには意味があると考えます。つまり今皆さんの自治体が何番目にあるかを問題にしていただくのではなく、「自分のところが昨年からみて取組みがどの程度増え、順位がどの程度上下したか」を判断するという見方をしていただければと思います。

自治体別取組状況集計総括票

集計総括票

取組み施策、実施増加数の大きい自治体

実施数の多い自治体と、99年から比較して実施の増加数が多い自治体を多い順に並べると、それぞれ以下のようになりました。
実施数の多い自治体のトップは川崎市になりました。前年度にトップだった水俣市、前年も3番目であった日野市が続き、次いで武生市、豊中市が続きます。新たに加わった枚方市が実施数が多く、鎌倉市、指宿市、菊池市、飯田市、光市なども実施数が多くなっています。規模の大きい自治体ほど実施数が多い傾向が読み取れます。
一方、実施数の増加を見ると、指宿市の44、武生市の39の大幅な増加を筆頭に、綾町が27、総和町が20と前年より施策実施が多くなっています。次いで上屋久町、日野市、東海村、大野市、小笠原村、旭川市が10以上取り組み施策数が増えています。

取組み施策の多い順 実施数増加数の多い順
施策の多い順 増加数の多い順

人口1000人あたり、職員100人あたり実施数の多い自治体

人口1000人あたり実施数の多い自治体と、職員100人あたり実施数の多い自治体を多い順に並べると、それぞれ以下のようになりました。
人口1000人あたり実施数では、小笠原村、安塚町、本宮町をはじめ、上屋久町、屋久町、藤里町、綾町、大山町、金山町、葉山村、士幌町、木頭村、愛東町などが多くなっています。 一方、職員100人あたり実施数でみると、綾町、小笠原村、安塚町、本宮町が多く、これに青垣町、金山町、屋久町、遊佐町、大山町、上屋久町、今立町、湯布院町、二ツ井町などが続いています。

人口1000人あたり実施数 職員100人あたり実施数
人口1000人あたりの実施数 職員100人あたりの実施数
※人口、職員数に回答のなかった自治体は除外している

共通目標分野別の施策数の多い自治体

共通目標の各分野ごとに2000年度実施数の多い自治体を並べると、以下のようになりました。 川崎市、水俣市、日野市、川越市、指宿市などが上位の常連となっていますが、水環境で遊佐町、大野市が上位に入るなど、まちの特色を生かした環境施策が進められていることが伺えます。